beacon

[選手権予選]終盤の点の取り合い制した古豪・日大山形が18年ぶりに全国へ!:山形

このエントリーをはてなブックマークに追加

[10.31 全国高校選手権山形県予選決勝 羽黒高 2-3 日大山形高 NDスタ]

 第94回全国高校サッカー選手権大会の山形県予選決勝は31日に山形県天童市のNDソフトスタジアム山形にて行われた。山形県U18リーグ1部で今年全勝優勝を果たした日大山形高と今年山形県高校総体で優勝した羽黒高が対戦した。

 MF白田翔(3年)、MF辨野右京(3年)といったサイドアタッカーを有効に使い、堅守速攻を持ち味とする日大山形は序盤から激しく羽黒陣内に攻め入ったが、羽黒は相手攻撃陣を複数人で囲み、懸命に体を張った守備を見せた。そしてボールを奪うと、キャプテンのMF佐藤郁(3年)から精度の高いパスを受けたFW伊藤瀬七(3年)らが果敢にゴールを狙った。双方決定機は作りながらもゴールを奪えず、前半は0-0で終えた。

 試合は後半開始早々に動く。2分、PA内で羽黒がファウルを取られ、PKのチャンスを得た日大山形はチームのプレースキッカーである白田がきっちりと決めて先制した。その後は羽黒が猛反撃を仕掛ける展開となり、10分には佐藤が放ったミドルシュートをキャッチしようとした日大山形GK菅原拓寛(2年)がゴールポストに足首をぶつけ、プレー続行不可能となり、2分後にGK武内紫舞貴(3年)と交代するハプニングに見舞われた。

 しかし「元々は正GKで良い準備をしていた」と矢作直樹監督が信頼して送り出した武内が安定したプレーを見せたこともあり、日大山形は再び攻勢に転じた。そして29分、186cmの長身DFでキャプテンの石井理貴(3年)が右サイドに開いて山なりのクロスを上げた。ゴール前にMF庄司朋矢(3年)が飛び込み、ヘディングシュートを決めて2-0とリードを広げた。

 試合は決まったかに見えたが終盤、羽黒も意地を見せた。35分、伊藤のクロスを受けた途中出場FW阿部佑亮(2年)がゴールし、2-1と1点差に迫った。しかし直後の37分、日大山形は白田のCKから石井が相手選手3人と競り勝って豪快なヘディングシュートをゴールに突き刺し、3-1と再び突き放した。

 1ゴール1アシストと大活躍の石井だったが、得点の直後にPA内で相手選手を倒してしまった。40分、羽黒の伊藤がPKを決め、再度1点差に詰め寄られた日大山形だったが、その後は落ち着きを取り戻し羽黒の反撃を封じ込め、このまま試合終了。3-2と逃げ切った日大山形が18年ぶりの栄冠を手にした。

 全国高校総体出場を果たしたり、リーグ戦では安定した成績を残したりと山形県内の強豪として復権しつつあった日大山形だったが、長年なかなか選手権出場を勝ち取れなかった。「ほとんど初出場のようなものですよ」と矢作監督は語るが、夏に尚志高など強豪校と試合を組ませ、地元出身選手を地道に育て上げた成果がようやく花開いた。

 終盤粘りを見せた羽黒は、試合後に涙を見せる選手もいたが、やり切った清々しさを感じさせる表情の選手も多かった。「本当に良いチームだった。ボールをつないで意図を持って攻撃でき、やりたいサッカーができた」と語る本街直樹監督もまた清々しい表情だった。

 互いに持ち味をぶつけ合う好ゲームを制した日大山形。「目標は全国ベスト8」とキャプテンの石井は強く意気込む。石井を中心とした強固な守備組織と白田、辨野といったスピードと技術を併せ持つアタッカーが繰り出すカウンター攻撃は、全国の舞台でも十分武器となるだろう。ぜひ目標のベスト8を越える活躍を見せて欲しい。
  
(取材・文 小林健志)
▼関連リンク
【特設】高校選手権2015
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2015

TOP