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[選手権予選]日本一以来の全国進出へ王手。富山一が前年王者・水橋をPKで下し、決勝進出!:富山

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[11.3 全国高校選手権富山県準決勝 水橋高 0-0(PK3-4)富山一高 富山県総合運動公園]

 第94回全国高校サッカー選手権富山県予選は3日に準決勝を行った。第1試合では昨年の代表校である水橋高と、13年度の選手権王者である富山一高が対戦。無得点のままPK戦までもつれたが、GK久我芳樹が2本のキックを止めた富山一が4-3で制した。11月7日の決勝では、富山東高と対戦する。

 この日は富山一高・大塚一朗監督の51回目の誕生日。「50歳を過ぎたら、あまり嬉しくもないけど」と苦笑いしつつも、「皆が頑張ってくれたおかげ」と選手たちから贈られた“勝利”というバースデープレゼントに笑みを浮かべた。

「僕らがボールを持って主体的に攻めよう、相手の間でボールを受けて攻めようと思っていた」(大塚監督)富山一高だったが、前半は思うような攻撃ができない時間が続いた。それでも次第に縦に速い攻撃でゴール前に出る機会が増えると、前半12分には相手のクリアを拾ったMF賀田凌を起点に、左からMF柴田丈一朗がクロス。坂本がゴールを狙ったが水橋DFに阻まれた。対する水橋はカウンターから1点を狙う展開に。34分に中盤から、左サイドのスペースに出たパスに対し、FW碓井一希が反応。ドリブルでCK付近まで進み、フォローに入ったMF四十田蒼に預けたが、シュートを打ち切れない。

 両者、決め手を欠いたまま迎えた後半のペースは富山一。「前半はあまりプレッシャーがかかっていなかったので、前からかかるようにした」(大塚監督)と中盤をダイヤモンドにした4-4-2から、4-2-3-1へと布陣を変更したことで、前線からの連動したプレスにより、高い位置でのボール奪取が増え始めた。同時に、前半は鳴りを潜めたMF久保佳哉と柴田の両翼が、積極的な突破から好機を演出。後半23分には、左の柴田が右に大きく展開し、フリーで受けたFW坂本裕樹がドリブルでGKと1対1の場面を迎えたが、ゴールネットを揺らすことができず、前後半を終えた。

 延長戦でも均衡が崩れず、試合はPK戦に突入したが、ここで活躍したのは延長後半終了間際に投入されたGK久我芳樹。先攻・水橋の1番手のキックを読み通りにストップすると、3番手のキックもゴール右隅に飛んで相手にゴールネットを揺らさず。水橋の肥田一誠も負けじと4番手のキックを防いだが、後一歩及ばず試合終了。PK戦を4-3で制した富山一が、決勝戦進出を決めた。

 試合後、大塚監督が「予選はいつも、勝たなきゃいけないっていうプレッシャーがあるし、相手にも勝ちたいという想いがある」と県を勝ち抜く難しさを口にしたように、富山一は選手権を制して以来、全国の舞台から遠ざかっている。昨年は総体予選、選手権予選ともに準決勝で敗退。リベンジを誓った今年の総体予選も21本ものシュートを打ちながらも、富山工高にワンチャンスを決められ、準決勝で涙を飲んだ。鬼門と言える県の準決勝を乗り越えた大塚監督は、「今年の3年生は、1年生の頃に日本一を見ている。『僕らもできるんじゃないか』って甘い考えがあったけど、厳しい現実を知って、気持ち的に乗り越えてくれた」と一皮向けた選手を称えつつ、次なるターゲットである決勝戦に気持ちを切り替えていた。

(取材・文 森田将義)
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