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[選手権予選]「全国基準のボランチ」へ、意識変えた松山工の10番MF大木が4-0快勝に貢献:愛媛

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連覇を狙う松山工高の10番、MF大木秀仁が先制点を決めるなど快勝に貢献

[10.15 全国高校選手権愛媛県予選2回戦 松山工高 4-0 松山東高 北条陸上]

 第95回全国高校サッカー選手権愛媛県予選は15日、決勝トーナメント2回戦を行い、県総体王者の松山工高と松山東高が対戦。前半25分にマークしたFW大木秀仁の先制点を皮切りに4点を奪った松山工が勝利し、準々決勝へと駒を進めた。

 この日が初戦となった松山工は立ち上がりから、取りこぼしのないよう「石橋を叩いて渡るサッカー」(大西貴コーチ)を選択。失点リスクの回避と、左右への揺さぶりを狙い、自陣でボールを持てばCB志摩奎人とボランチ大木を起点に左右へロングボールを配球し、試合を進めていく。二人の大きな展開から、村上仁祐芳之内啓の両サイドMFの突破を引き出したものの、中央を効果的に攻略できず、序盤の決定機は前半19分のみ。相手DFの隙を突いて、自陣から相手PAに通した縦パスから、FW石井隆之介がフリーでゴールを狙ったが枠を捉えることができなかった。

 周囲から見れば、もどかしい時間だったかもしれないが、坂本哲也監督としては、「1、2年生ばかりの若いチームなので緊張に慣れていない。難しい試合になるのは想定内」。25分には、「プラン通り」の展開で試合を動かした。自陣でボールを持った志摩が左前方にパスを通すと、待ち構えた石井が素早く中央にポストプレー。走り込んだ大木がドリブルで抜け出すと、PA中央に入る寸前で放った左足シュートがゴールネットを揺らした。

 1-0で迎えた後半はサイドと中央を効果的に使い分けた攻撃で松山東を圧倒。その中心となったのは背番号10を背負う大木だった。「しっかり、サッカー知能の高さを見せて、攻守のキーになってくれた」と指揮官が称えたように、3列目からサイドにボールを配球しながら、ゴール前にも顔を出して、攻撃をけん引。積極的にセカンドボールの回収に励むなど、守備での貢献度も高かった。後半19分には大木が上げた右CKを志摩がヘディングでゴール前に折り返し、FW向井和哉がシュート。GKに弾かれた所を芳之内が押し込み加点すると、残り10分を切ってからは更に2点を追加。4-0で試合を終えて、夏冬連覇に向け、順調な滑り出しを切った。

 この試合、ひと際まばゆい存在感を放ったのは試合の流れを引き寄せる1点目を奪った大木で間違いないだろう。昨年度の選手権予選で得点王に輝くなど、これまではアタッカーとしての起用が主だったが、今年に入ってからサッカーセンスの高さを買われ、ボランチにコンバート。中盤の底から繰り出す散らしで見せ場を作ってきたが、「散らし、出ていくという作業を繰り返して欲しいのにインターハイ後は、ボールを捌くだけで勘違いしていた」(坂本監督)と持ち味を発揮しきれなかった。

「ちょっと勘違いしているんじゃないの?ボランチはゴール前に出ていって、2対1の状況を作ることが大事なんだ。現状で満足するんじゃなく、一つ上のレベルを見ていけ」。そんな指揮官の愛ある激励と共に大西コーチから見せられたのはインターハイ王者・市立船橋高の試合映像だった。参考にしたのは、同じ10番を背負うボランチの高宇洋(G大阪入団内定)。「同じタイプの選手だけど、彼は攻撃で怖い選手だった。そこから、全国基準のボランチを目指してやっていこうと思った」。この日見せたプレーは、夏以降の意識変化が身を結んだ格好だ。

 自身の活躍によって、きっちり準々決勝へと駒を進めたが、見据えるのははるか先。「昨年、選手権(全国大会)の3回戦で負けてから、僕らは『先輩たちを超える』ことを目標にしてきたので、愛媛県のチャンピオンになるのは通過点。1、2年生が中心のチームだけど、試合に出られない3年生の想いも背負って頑張りたいし、個人としても2年連続で県の得点王を狙っていきたい」と更なる活躍を誓った。

(取材・文 森田将義)
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