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[選手権予選]東京A準決勝進出懸けた熱戦は成立学園が逆転で実践学園撃破!

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後半12分、成立学園高はFW竹本大輝が勝ち越しゴールを決めてガッツポーズ

[10.16 全国高校選手権東京都Aブロック予選準々決勝 実践学園高 1-2 成立学園高 実践学園高尾G]

 第95回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック予選準々決勝が16日に行われ、成立学園高実践学園高に2-1で逆転勝ち。05年度以来となる全国大会出場へ一歩前進した成立学園は、11月5日の準決勝で東久留米総合高と戦う。

 難敵の壁を乗り越えた。序盤はややオープンな展開。12年度の優勝校・実践学園が中盤の低い位置からダイレクトでのスルーパスを入れてきたのに対し、よりボールを握っていた成立学園はサイド攻撃からチャンスをつくり出す。15分には期待の2年生MF鈴木皓がワンツーから右足シュートを飛ばし、16分には左サイドのスペースを突いたMF鈴木亮祐(3年)の折り返しからFW鈴木龍之介(3年)が3連続シュートを放った。だが、実践学園はGK中村寛之(3年)のファインセーブやDFの身体を張ったディフェンスによって3連続でブロック。先制点を与えない。

 そして22分、実践学園は右サイドを駆け上がったSB窪園流星(3年)のクロスのこぼれをMF境大空(3年)が左足でゴールヘ叩き込んで先制した。徹底したハードワーク、そして攻守においてゴール前での強さを見せた実践学園に対し、成立学園もMF大野泰成(3年)を中心にボールを保持する時間を増やし、左SB西羽開主将(3年)やFW竹本大輝(3年)、MF萩原幹太(3年)の仕掛けなどから反撃。だが、実践学園は最終ラインをコントロールするCB浅貝崇裕(3年)とCB佐々木良和(3年)を中心に集中した守りを見せ、前半を1-0でリードして終えた。1点を追う展開で残り40分間を戦うこととなった成立学園の宮内聡監督は「前半はサイド変えているのにスピードダウンをしてしまっている。そこはハーフタイムに言いました」。そして後半開始から“切り札”FW森田裕也(3年)を投入した成立学園が押し込んでいく。

 実践学園はベンチから「甘すぎるよ、入りが!」という厳しい声が飛んでいた。局面局面で潰し切れなかったり、そのわずかな部分が失点に繋がってしまう。5分、成立学園はゴール正面左寄りの位置で森田がFKを獲得。キッカーの鈴木龍が右足を振り抜くと、「とりあえず枠に収めようと思いました。最初越えたと思いましたけれど」という一撃がゴール右隅へと吸い込まれた。成立学園が竹本の展開や右SB中能健人(3年)のアーリークロスなどで実践学園の守りを横から揺さぶって勝ち越しを目指せば、実践学園もサイド攻撃やセットプレーからMF藤尾圭悟(3年)やMF清水喜一(3年)がシュートまで持ち込んでいた。

 だが12分、成立学園は見事なカウンターで2点目を奪う。自陣での相手スローインという状況からボールを奪うと、中能が相手を鋭い動きで振り切って縦パス。これを起点とした速攻から相手CBを置き去りにした森田が右サイドを持ち上がってラストパスを入れると、PAへ走り込んだ竹本がニアサイドへ1タッチシュートを沈めて2-1とした。

 実践学園は後半半ばからポジションを左SBからSHへと移した川村彰良(3年)が突破力を発揮。30分には左サイドへ飛び出してPAから左足を振り抜く。これは距離を詰めたGK伊藤快(3年)に止められてしまったが、こぼれ球を拾って角度のない位置からGK不在のゴールエリアにラストパスを入れる。そしてFW坂井啓希(3年)が飛び込んだが、わずかに触ることができない。絶好の同点機を逸した実践学園だが、その後も長いボールを前線へ入れて相手最終ラインにプレッシャーをかけるなど諦めずに攻め続ける。それでも成立学園は「相手がああやって後ろから蹴ってくるのは分かっていたことなんで、自分たちも練習から意識してやっていたので、そこは上手く対応できたので良かったです」と振り返る長身CB小山珠里(3年)とCB長草優之(3年)が跳ね返してマイボールに。終了間際には伊藤が素晴らしいキックで陣地を挽回する好プレーも出て実践学園の反撃を振り切った。

 成立学園は元日本代表の宮内監督が「まだまだ伸びしろがある」というチーム。この日はGK陣に怪我人が出る中で、公式戦出場経験の浅い伊藤が好プレーを見せ、元日本女子代表の山郷のぞみGKコーチの下でトレーニングしてきた成果を発揮した。ベンチに森田や大型FW町田ジェフリー(3年)ら武器を持つ選手たちも控えるチームは総体予選こそ決定力を欠いて準決勝でPK戦の末に敗れたが、敗戦から逞しさを増して今回こそ全国へ。小山は「今年インターハイで悔しい思いして、そこで選手権では絶対に全国行って、日本一取ろうと話していた。目の前の一試合一試合に集中して勝っていけたらいい」。跳ね返されてきた東京の壁を今度こそ破る。

(取材・文 吉田太郎)
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