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[選手権予選]主将岩村、エース八矢のゴールで山形中央が山形商に競り勝ち、山形4冠達成!!

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優勝し、中央のCマークを手でつくる山形中央高イレブン

[10.29 全国高校選手権山形県予選決勝 山形中央高 2-1 山形商高 NDスタ]

 第95回全国高校サッカー選手権山形県予選決勝が29日、山形県天童市のNDソフトスタジアム山形で行われ、昨年秋の県新人大会、今年の県高校総体、県リーグ1部優勝を果たしている山形中央高が、勝てば20年ぶりの選手権出場となる山形商高と対戦した。

 この日のNDソフトスタジアム山形は強風が吹き荒れるコンディション。「本当は風下を取って、前半耐えて後半勝負したかった」と渡辺憲雄監督が語った通り、前半は山形中央が風上、山形商が風下のエンドを取る形で始まった。試合開始当初は準決勝でプリンスリーグ東北勢の日大山形高相手に5得点を奪った山形商が、風下にもかかわらず勢いよく攻め込んだ。2トップのキャプテンFW進藤陸(3年)、FW吉田篤志(2年)がショートパスをつなぐ攻撃で果敢にゴールを狙った。

 しかし前半も20分頃を過ぎると、次第に風上の利を生かした山形中央が攻める展開となった。そして28分、MF渡部航誠(3年)のパスを前線で受けて相手DFを引き付けたFW中川和彦(2年)が後方へパス。「練習してきた形」というボランチの位置から上がってきたキャプテンMF岩村豊(3年)が豪快にミドルシュートを決めて山形中央が先制した。

 さらに山形中央は39分、中盤で相手からボールを奪うと鮮やかなショートカウンター攻撃を繰り出す。右WBのMF高瀬雄太(3年)がドリブル突破を仕掛け、ゴール前のFW八矢悠雅(3年)へ絶妙なパス。「自分はボールに寄ってしまう癖がありますが、そこをグッと堪えて溜めて溜めて前にスペースを作りました。高瀬はうまいので良いパスが来ると信じて、いかに冷静に決められるかを考えました」と振り返った八矢が冷静にゴールを決め、貴重な追加点。前半は2-0で山形中央がリードした。

 後半は山形商が風上、山形中央が風下に。すると徐々に山形商もシュートチャンスを作れるようになった。16分、ボランチのMF沓澤優真(2年)のミドルシュートは惜しくも山形中央GK阿部拓真(3年)に阻まれるが、16分に右サイドでボールを受けた吉田がドリブル突破し一気にゴール前へ。そのまま落ち着いてシュートを決めて1点差に詰め寄った。なおも山形商が攻める展開となったが、「最後10分逃げ切るための練習はしてきました」と渡辺監督が語った通り、山形中央は攻め込まれてもこの夏ボランチからCBへコンバートされたDF貝山龍平(2年)を中心とする守備陣が粘り強い対処を見せ、できるだけ自陣でボールを保持し、うまく時間を稼いだ。終盤の山形商の猛攻も何とかしのぎきった山形中央が2-1で勝利し、4年ぶり11回目の優勝、全国大会出場を決めた。

 持ち味は岩村をはじめとする中盤の高い個人能力を生かしたショートパスをつなぐサッカーだが、「高校総体後からロングパスも使っていけるようになりました」と小さい展開と大きい展開の使い分けができるようになったのが大きかった。この日も1点目はパスをつなぐ形、2点目はショートカウンターで決めており、攻撃のバリエーションの豊富さが魅力だ。全国高校総体ではアクシデントで途中交代し、チームも前半早々の失点で敗退と不完全燃焼に終わった岩村は全国大会の目標を「まず1勝です。それを達成できなければ引退できないと思っているので強い気持ちでやっていきたいです」と初戦突破へ意欲を見せた。

 一方、後半は風上の利を生かし、多くの決定機を作った山形商だったが、20年ぶり2回目の優勝にはあと一歩手が届かなかった。「前半の自分たちのミスが悔やまれますが、あと1点獲れるのではないかと最後までワクワクドキドキさせてくれました」と川井博監督は全てを出し切り、最後まで勝利を諦めなかった選手たちの労をねぎらった。敗れはしたが、山形FC出身選手を中心とした前線の細かいパスワークでの攻撃の質は高く、堂々たる戦いぶりだった。  

(取材・文 小林健志)
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