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[選手権予選]思い背負って戦った市立船橋のG大阪内定MF高宇洋、涙の千葉制覇

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全国大会出場を決め、涙を流して喜ぶ市立船橋高MF高宇洋(右)

[11.20 全国高校選手権千葉県予選決勝 流通経済大柏高 1-2 市立船橋高 フクアリ]

試合終了後、スタンドへ挨拶を終えた市立船橋高の10番MF高宇洋(3年、G大阪内定)の目からは涙が溢れ出ていた。両手やユニフォームで拭っても、その涙は止まらない。

「スタンドにいるBチームの人たちとか色々な思いがそれぞれあって、それを背負ってこのユニフォームを着ている。その重圧が勝って(涙として)出てきた」

 チームメートに肩を抱かれ、コーチに頭を撫でられながら歩き出した10番。普段は厳しい言葉も仲間たちにぶつけながら牽引役としてチームを引っ張る高の熱い涙が、千葉を制することの難しさも感じさせた。1年時は流通経済大柏高に逆転負けして準優勝。「1年生から経験させてもらって1年生の時の負け方が2-0から3点取られて逆転負け。見たくない景色を見てきた。経験してきた身として絶対に負けたくなかった」。その思いやチームメートたちの思いをピッチでぶつけ、試合後は涙を流して勝利を喜んだ。

 試合を決める力も得点への意識も備えているが、ボランチとしてプレーする現在は試合で特別目立つ存在ではない。ただ、朝岡隆蔵監督から「攻守に置いてどんな絵にもオマエが映るプレーをしろ」と言われているという高は攻守両面において献身的にボールに絡み、精度と強度ある動きでチームを支えている。この日、前半にはこぼれ球に反応して右足を振り抜くシーンがあり、後半もチャンスあれば強引にドリブルを仕掛けるシーンがあった。だが、まずはチームが勝つためのプレーを徹底。「リードしている時間も多かったので慌てずに。自分のやるべきことをやろうと思っていました。あまり地味なプレーが多かったりすると思うんですけど、見てくれている人は見てくれていると思うんで注目もされると思うんで表現できるところは表現したい」。得点はなかったが、チームにとって欠かせない存在として優勝に貢献した。

 本人が想定するようにG大阪内定のMFは注目選手の一人として全国に臨むことになる。「(G大阪のサポーターには)攻守に置いて常に関わり続けるところだったり、怖い所に入っていくところや献身的に行くところを見てもらいたいです」と語った。目標は昨年度成し遂げることができなかった選手権優勝だ。昨年度の全国大会で東福岡高に敗れた3回戦の会場がこの日の会場・フクダ電子アリーナ。「ここでヒガシに負けているんで、去年負けているんで、きょう絶対に負けたくなかった、去年の強かった先輩たちが成し遂げられなかった優勝っていうものを、夏冬連覇という形で成し遂げたい。日本一獲りたいです」。千葉県代表の市立船橋は大会序盤、フクダ電子アリーナなど千葉県内の会場で試合をすることが濃厚。10番はここではもう涙を流さず、次は埼玉スタジアム2002で日本一となって嬉し涙を流す。

(取材・文 吉田太郎)
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