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青森山田主将MF住永が堂々の選手宣誓、「サッカーができる環境に感謝したい」

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青森山田高の主将MF住永翔は「感謝」の選手宣誓

“パルティード・ア・パルティード”。スペイン語で「1試合、1試合」を意味し、アトレティコ・マドリーディエゴ・シメオネ監督が常套するフレーズから始まった青森山田高の主将MF住永翔(3年)の選手宣誓。現役時代のシメオネ監督と同じボランチの闘将は、大役を堂々と務めきった。

 宣誓は黒田剛監督と考えたもの。2分50秒の中には、さまざまな思いを込めた。ブラジルのクラブ、シャペコエンセの選手、スタッフを乗せた飛行機がコロンビアの山岳地帯に墜落、乗員乗客77人のうち71人が犠牲となった悲劇を受けて“日本でも活躍した選手が何人も犠牲になりました。私たちは彼らのプレーから、時を忘れるほどの感動や勇気をもらいました。心からご冥福をお祈りいたします”と思いを馳せた。

 宣誓を終えて、住永に最も伝えたかったことを問うと、「感謝」という言葉が返ってきた。

“事故や災害のために、サッカーを続けられない選手の無念を思えばなおさらです。東日本大震災の年、私たちは小学生でした。このままサッカーを続けていいのか迷った友人もいましたが、周囲に助けられ、背中を押され、いまがあります。私たちがここまでたどり着けたのは、仲間との絆があったから、監督やコーチの励ましと、窮地を救ってくれた先輩がいたから。そして何より家族の支えがあったからです。その全てに感謝し、ピッチに立ちます”

 この宣誓には「サッカーができる環境に感謝したい」という強いメッセージが込められていた。それは住永1人のものだけでなく、仲間の思いも乗せたものだった。「自分自身は東日本大震災でサッカーができなくなったわけではないんですけど、青森山田には宮城県出身の選手もいて、東日本大震災を被災した選手もいます。そういった人たちの思いを込めました」。

 優勝候補の一角である青森山田は、2日の2回戦からの登場となる。17日に行われた高円宮杯チャンピオンシップでは、広島ユースをくだし、「高校年代日本一」の称号を手にしている。「いろいろなことを言われますけど、調子に乗りすぎずに自分たちの信じてきたことをやっていきたいと思います」とキャプテンに慢心している様子はない。

「絶対に優勝したいので、緒戦に向けて準備していきたいと思います」。青森山田の緒戦は、来年1月2日、鵬翔高とNACK5スタジアム大宮で激突する。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 奥山典幸)

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