[1.3 全国高校選手権3回戦 前橋育英高1-0遠野高 フクアリ]

　3年連続のベスト8進出がかかる前橋育英高(群馬)と、9年ぶりの8強入りを狙う遠野高(岩手)が、フクダ電子アリーナ(フクアリ)を舞台に激突。開始2分にDF角田涼太朗(2年)のゴールで先制した前橋育英は、虎の子の1点を守りきる。選手権に入ってからの無失点試合を「3」に延ばし、5日に行われる滝川二高(兵庫)との準々決勝へと駒を進めた。

　この試合、最初のCKが得点に結びついた。前半2分、MF高沢颯(3年)の右CKがこぼれたところを角田が蹴り込み、ゴールネットを揺らす。

　前半は前橋育英が押し込む展開に。MF長澤昂輝(3年)とMF大塚諒(3年)のダブルボランチが鋭い読みと素早い寄せでボールを回収、中盤の密集でもボールを失うことなく、確実に味方につないでいく。「自分と諒が散らすっていう部分では前半はできていた」(長澤)。ワンタッチ、ツータッチでパスをつなぎ、敵陣深くまで攻め入るが、フィニッシュのところで精度を欠き、2点目を奪うことができない。

「立ち上がりは、育英さんのプレッシャーと速さに、なかなかよさが出せませんでした」とは、遠野の長谷川仁監督。敵陣でほとんどパスを回すことができないまま時間は過ぎ、前半はシュート0本に抑えられてしまったが、後半は遠野のペースで試合が進む。「いままで2トップが点を決めて勝ち上がってきた」(長谷川監督)というように、FW佐々木琢光(3年)とFW阿部亮太(2年)が立て続けに決定機を迎える。前橋育英DFラインの背後へとシンプルにボールを入れると、背後をとってフリーになったが、GK月田啓(3年)がプレッシャーをかけ、シュートは枠を外れていった。

　劣勢が続く前橋育英は、交代枠をすべて使って中盤より前の選手を投入したが、流れを変えることはできず。「シュートを打てないからカウンターをくらう。打っていいシーンはあった」と指揮官は不満を口にした。それでも、チームは無失点で80分を終えることができた。「ここで負けるチームは、ディフェンスが持ちこたえることができない」。選手権をよく知る山田監督は、体を張って戦いぬいた選手たちを讃えた。　

　遠野が過去4大会のフクアリで3戦全敗なのに対し、前橋育英は過去3大会のフクアリで6戦全勝と好相性。この試合でも相性の良し悪しが結果に出た格好だ。続く準々決勝の舞台もフクアリ。相性の良さを前橋育英は活かすことができるか。滝川二との無失点が続くチーム同士の対戦は、激戦必至だ。

(取材・文　奥山典幸)

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