beacon

夏の県初戦敗退から冬は日本一へ!前橋育英「次は良い意味で歴史を変えたい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

最終調整を行った前橋育英高イレブン

 第95回全国高校サッカー選手権は9日に埼玉スタジアム2002で決勝戦を行う。決勝を翌日に控えた8日、前橋育英高(群馬)と青森山田高(青森)はそれぞれ前日練習を実施。14年度以来2年ぶり2回目の進出となる決勝で初優勝を懸けて戦う前橋育英は、埼玉県内で最終調整を行った。

 前橋育英は対面パス、ヘディングなどの基礎練習を行ったあと、スプリントを交えながら両サイドのペナルティーエリア間を6本、7本の1タッチパスで運ぶメニューを繰り返した。その後先発組のフィールドプレーヤー9名は別メニューを実施。準々決勝で先発したMF岩下航(3年)やサブ組の選手たちはグリッド内での7対7や、GKを加えたハーフコートの8対8などを行ってトレーニングを終えた。

 発熱のために準々決勝を欠場した右SB後藤田亘輝(2年)はインフレエンザではなく、山田耕介監督は「風邪なので熱が下がればメンバーに入れようと思います」と決勝のメンバー入りを示唆。負傷を抱えるMF田部井涼(2年)に代わって岩下やMF田部井悠(2年)が先発出場して勝利に貢献している右MFのポジションについてはコンディション面や相手を分析して先発を最終決定する模様だ。
 
 山田監督は2年ぶりの決勝について、「今年はキツイかな、大変かなと思ったんですけど。3年生中心に良くまとまってきた。(6月の全国高校総体予選は)県内1回戦敗退ですからね。何が起こったんだろう」と微笑んだが、バラバラだったチームがまとまってきていることを実感している。

 総体予選敗退後、チームはミーティングを繰り返しながら自分たちがやるべきことを共有。GK月田啓(3年)が「みんな攻守で取られたらすぐ切り替えて、監督も日頃から言っているんで大きいですね。インハイ終わってから徹底してきた」と語っていたが、夏から変化した切り替えの速さや連動性の高まった守備を発揮して今大会は全5試合無失点を続けている。例年、攻撃面への評価が高い一方でなかなかクローズアップされることがなかったが、指揮官は「(毎年)プレッシングの連動性を重視している。(球際の部分を含めて守備面の良さが) 今年は顕著に出ている」と説明。好セーブを連発している月田や最終ラインの選手たちの競り合いの強さなども含めて好守がチームにいい影響を与えているのは間違いない。

 主将のMF大塚諒(3年)は決勝へ向けて「自分たちの持ち味であるプレッシングであったり、攻守の切り替えであったり、ゴール前のコンビネーション。そういった部分で自分たちのサッカーができれば、自分たちは勝てると思うので、そのサッカーを全国に見せつけたいと思います」と意気込んだ。

 09年の全国高校総体で優勝しているほか、MF山口素弘氏やMF細貝萌ら数々の名選手を輩出してきた“上州の虎”も、選手権に関しては2年前の準優勝が最高成績。それだけに大塚は「自分たちは夏、初戦敗退ということである意味歴史を変えてしまったので、次は良い意味で歴史を変えたいというのはみんな思っています」。良い意味で歴史を変える。それはもちろん、前橋育英史上初となる選手権日本一を獲得することを意味する。あと1勝。夏の初戦敗退から逆襲を誓って成長してきた前橋育英が9日、歴史を変える。

(取材・文 吉田太郎)

▼関連リンク
【特設】高校選手権2016

TOP