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決勝で再びネット揺らせるか、青森山田FW鳴海「ここまで来たら銀メダルはいらない」

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夏冬得点王も期待される青森山田高FW鳴海

 再びゴールネットを揺らせるか。7年ぶりに全国高校選手権で決勝進出を果たした青森山田高(青森)。ここまで4得点を挙げ、得点ランキングトップタイに立つFW鳴海彰人(3年)は「ここまで来たら銀メダルはいらないので、金しか求めていないです」と言い切った。

 夏の総体の得点王でもある鳴海。初戦となった2回戦・鵬翔高戦(5-0)で今大会初得点を記録し、3回戦・聖和学園戦(5-0)で2得点の活躍をみせた。準々決勝・正智深谷戦(3-1)では先制点となるゴールを挙げ、大会トップとなる通算4得点。しかし7日に行われた準決勝・東海大仰星戦は不発。思うようなプレーができないまま後半36分に交代したが、チームは2-1で勝利し、決勝へ駒を進めた。

 試合後、結果を出せずにもどかしさを覚えた鳴海は黒田剛監督と「話したいな」と感じていたという。すると宿舎で行われたミーティング。その後に黒田監督から呼び出された。そこで言われたのは「(1、2回戦で)点数を取ってから、お前は点を取ることしか意識していない。お前がいいときはチームがいい。お前が前からプレスをかけたり献身的な部分が大事。献身性を持ったチームが山田なんだから」という言葉。

 黒田監督は鳴海を“呼び出した”経緯について「得点王を意識しすぎてしまって、1、2回戦は良かったけれど、昨日の試合と準々決勝はあまり良くなかった。嫌なことはやらずに真ん中に留まって結局潰されるというのが、ここ2試合と続いていた。あいつの性格上、そういう部分が出てしまっているので、宿舎で話しました」と説明する。

 「自分としてはそこまでプレーは悪くなかったと思っていた」という鳴海だが、指揮官の言葉に耳を傾け、初心を思い出した。「監督の本当に優勝したいという気持ちも強く伝わってきました」。チームのために身を捧げるべく腹を括った。

 8日午前に東京都内で行われた決勝前日練習で、鳴海はチームメイトでともに得点ランキングトップに並ぶMF高橋壱晟(3年)と“連弾”を誓い合った。「二人で1点ずつ取って、得点ランキングそれぞれ5点となって、2-0で優勝しよう」。もちろん献身的なプレーがあってのことなのは理解している。「得点王を意識していないのは嘘になると思いますが、まずは全国制覇」と言った鳴海は、少し遠慮がちに「全国制覇を狙うなかで、自分が点を取って、チームが勝てれば」と口にした。まずは献身的にプレーする。その先に結果はついてくるはずだ。これまでだって、そうだった。

 黒田監督は「明日、鳴海は黒子に徹して走り回ってくれると信じているので」と期待を寄せる。黒子として走った先に、きっとゴールは待っている。夏と冬の得点王へ。決勝の大舞台で輝きを放てるか。

(取材・文 片岡涼)

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