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「とにかく元気」。試合ごとに状態上げてきた海星、逆転勝ちで三重決勝進出!

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FW黒田和也(14番)の逆転ゴールを喜ぶ海星の選手たち

[11.3 選手権三重県予選準決勝 海星高 2-1近大高専 東員町スポーツ公園陸上競技場]
 
 第97回全国高校サッカー選手権三重県予選準決勝が3日に行われ、海星高と近大高専の一戦は、後半の2ゴールで海星が逆転勝ちをおさめた。海星は、10日の決勝で四日市中央工高と対戦する。

 2年ぶり2回目の選手権出場を狙う海星の前に立ちはだかったのは、新人戦、インターハイ予選ともにベスト4まで進んだ近大高専。今予選の準々決勝では、前年王者・三重高を撃破するなど勢い十分な相手に対し、海星は落ち着いたボール回しでゲームの主導権を把捉した。

 相手エリアでは、FW魏彰寿(3年)と鳥喰靖登(2年)にボールを預け、両サイドからのクロスでゴールを狙ったが、GK黒川純誉(3年)のセーブや、DF庄司稜成(2年)の跳ね返しに苦しみ1点が奪えず。前半20分にはFW武山祥人(3年)のパスから中央を抜け出したMF古谷琉奇(2年)に左足シュートを決められた。先制点を許した海星だが、35分には鳥喰のシュートがクロスバーを叩くなど見せ場も。青柳隆監督が「0-1ならOKという感じだった」と振り返ったように、焦りの色は見られなかった。

 エンドが変わった後半は、近大高専が先に動く。FW中村榛(2年)を投入し、競り合いに強いFW前川幹宜(3年)を前線から右MFにスライド。海星がロングボールを入れた際は前川がDFラインに入り、跳ね返しを強化させたが、「ラインが下がり過ぎて中盤が間延びしたせいで、セカンドボールを拾われてしまった」(亀井俊彦監督)。海星はそうした隙を逃がさず、「前半の出来が良くなかったので、後半はギャップで受けることを意識した」というMF倉田人夢(3年)ら2列目が高い位置でボールを持つ機会を増やすと、後半5分にはMF清水俊樹(3年)がDF背後に入れた浮き球を魏がダイレクトで決めて、同点に追いついた。

 ここからは準々決勝で激戦を繰り広げた疲労と緊張のせいで、足を吊る選手が続出した近大高専に対し、海星はフレッシュな選手を投入し、攻撃を活性化。17分には魏の左クロスから鳥喰がヘディングでゴールを狙った。そして、23分にはMF渥美海人(3年)のパスからゴール前を抜け出したFW黒田和也(3年)が冷静に決めて勝ち越しに成功。終了間際にも黒田がGKと1対1の場面を作るなど、最後までゴールを狙い続けた海星が2-1で勝利し、優勝に王手をかけた。

 今年の海星は青柳監督が、事あるごとに「力がない」と言い続けてきたように、決して前評判の高いチームではなかった。選手権予選も初戦となった2回戦の四日市四郷高戦は延長戦までもつれるなど良いスタートダッシュは切れなかったが、「日に日に練習から皆のやる気が増して、得点も増えて行った」と倉田。試合を重ねるごとに調子を上げて、決勝まで駆け上がった。「とにかく元気。アップの元気さが試合に出ている」(倉田)ことも躍進の要因だ。

 決勝で対戦するのは県の盟主である四日市中央工。青柳監督と四中工の樋口士郎監督は同じ年に四中工のスタッフになった縁もあり、「士郎さんが最後なので、何としてでも決勝でやりたかった。これまで決勝で一度も勝てていないので、最後は勝ちたい」(青柳監督)。勝利を望むのは選手も同じで、DF宇田脩真(3年)は「四中工は新人戦で僕らが勝っているので、リベンジする気持ちで挑んでくると思う。僕らも全力を出し切って、勝ちたい」と意気込んだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2018

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