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[MOM3014]玉野光南FW野口幹太(3年)_相手率いる恩師の前で“恩返し”の2発!

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後半36分、玉野光南高の10番FW野口幹太が右足で2点目のゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.29 選手権岡山県予選準決勝 作陽高 0-2 玉野光南高 津山市陸上競技場]

 対戦相手を率いる恩師の前で2ゴールを決めた。玉野光南高の10番FW野口幹太(3年)はファジアーノ岡山U-15出身。この日対戦した作陽高の酒井貴政監督は中学時代に岡山U-15の監督・選手だった間柄だ。

「酒井監督は選手みたいに声をバンバン出してチームを盛り上げてくれた。中学校の時に結構助けてもらった」と野口。中学時代、主力選手という地位ではなかった野口は誘いを受けて玉野光南へ進学し、酒井監督は母校・作陽の監督に就任した。

 今年のインターハイ予選準決勝で対戦した際は敗戦。「インターハイは酒井監督に負けてしまったので、素直に勝ちたかったですね」という野口が今回は“恩返し”のゴールを決め、白星を勝ち取った。

 前半、相手のDFラインと中盤の間でボールを受けてボールを散らそうとしていた野口は、FKのサインプレーからシュートも放った。試合は拮抗していたものの、自陣での時間が多くなる展開。それでも「得点取れればヒーローですし、負けたら僕の責任」という覚悟を持ってプレーしているという10番が後半に先制点をもたらす。

 後半22分、スルーパスで俊足FW岸本大雅(2年)が右サイドを抜け出してGKをかわす。そして体勢を立て直して上げたクロスを野口が右足ダイレクトボレー。「岸本くんが上手く抜け出してくれて、折り返しを待っていたら来て、あとは当てるだけだった。ボレーは得意なので、ちゃんと当てられて良かったです」という一撃がゴールに突き刺さった。

 すると10番は一直線にスタンドの応援団の下へ。「応援団にはいつも支えられている。きょうも(作陽高の地元で)アウェーのような環境だったけれど、ホームのような雰囲気を作ってくれたので一番に行きました」。そして一緒になってゴールを喜んだ。

 その野口は36分にもCKのこぼれ球から右SB川尻裕也(3年)の折り返しを右足でシュート。GKは見ずにボールに集中して「体ごとで流し込みました」という一撃で2度目の歓喜を生み出した。

 宿敵・作陽からの勝利に嬉し泣き。だが、もう1試合残っている。「決勝は得点にこだわって、どんな形でも点が取れれば、そして勝てればチームに貢献できると思うので、僕は得点のことだけを考えていきたいと思います」。注目FWだった飯尾柊太(現びわこ成蹊スポーツ大)から10番を受け継いだ野口は決勝でも得点を決め、チームメート、先輩たちとともに4年ぶりの選手権出場を喜ぶ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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