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2年ぶりV目指した前橋育英は初戦敗退。涙のMF渡邉「まだまだ全然足りなかった」

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前橋育英高は初戦敗退。MF渡邉綾平は涙が止まらず

[12.31 選手権1回戦 前橋育英高 0-0(PK4-5)神村学園高 浦和駒場]

 1年時に見た景色を再び見ることはできなかった。17年度選手権優勝校の前橋育英高は0-0からのPK戦の末、初戦敗退。再び準決勝、決勝が行われる埼スタまで勝ち上がり、頂点に立つという目標はわずか1試合で潰えた。

 前橋育英はU-17日本代表候補のゲームメーカー・MF櫻井辰徳(2年)と群馬県予選決勝で決勝点を決めていたMF熊倉弘達(2年)がいずれも負傷欠場。山田耕介監督は「櫻井辰、熊倉弘達がケガでいなかったのは痛かったですね」と首を振る。特に櫻井はプレースキックでも違いを生み出せる存在。188cmDF関礼恩(3年)を筆頭に制空権を握っていただけに、有能なキッカー不在はチームへの影響が大きかった。。

 神村学園高のMF軸丸広大主将(3年)が「前に送っても(前橋育英DFに)弾かれてセカンドボールも拾えない時間、我慢する時間が多かった」と印象を語っていたが、前橋育英は3バック中心に確実にボールを弾き返してセカンドボールを回収。互いにボールを繋いで攻め合う中、前半から主導権を握って試合を進めていた。

 後半には決定的なピンチでDF相原大輝(3年)がスーパークリア。相原は数的不利でのカウンターをファウル覚悟で阻止するなど好プレーを見せていた。だが、左WB並木歩己(3年)やMF倉俣健(3年)の決定的なシュートが相手GKのファインセーブに阻まれるなど決め切ることができない。

 そして、PK戦では昨年の経験者で、リーダーとしてチームを引っ張ってきたMF渡邉綾平(3年)とインターハイ予選などでチームを救ってきた倉俣が外してしまう。彼らは取材ゾーンでも涙を流して悔しがっていた。

 渡邉は「県予選始まってから怒られ続けてきたので、そこが……悔しいです……」と涙。そして、「夏も良いサッカーした中で勝ち切れなくて(インターハイで青森山田高に惜敗)、強さを求めてやってきたんですけれども、まだまだ全然足りなかったというのが今の印象です。最後の県予選が始まってからは、凄く濃いものだった。人間的な部分だったりとかサッカー以外のところで繋がってくるんだと最終的に思い知らされた」と唇を噛んだ。

 山田監督は、人間的に甘さのあった学年が「よく立ち直った」と褒める。それでも勝負強さを発揮できずに敗退。3年生たちは高校時代に叶えることができなかった夢、目標に大学サッカーなどでまた挑戦する。渡邉は後輩たちへ向けて「『絶対にここに戻ってきて、もっと上のステージ、上の舞台を経験して欲しい』と言いました」。「上州の虎」の1、2年生は先輩たちが涙した姿を忘れず、1年後に全国制覇を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
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