beacon

[MOM3306]市立船橋MF岩田夏澄(3年)_今年も決勝で輝いた市船の「8」。延長終了間際に全国導く一振り

このエントリーをはてなブックマークに追加

延長後半10分、市立船橋高MF岩田夏澄が劇的な決勝点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.15 選手権千葉県予選決勝 流通経済大柏高 0-1(延長)市立船橋高 フクアリ]

 昨年度の千葉県予選決勝は市立船橋高の背番号8・MF森英希が2得点の大活躍。今年の決勝も青いユニフォームの背番号8が輝いた。0-0で突入した延長戦の後半10分、市立船橋は右サイドで競り合いを制したMF坪谷至祐(2年)が前へ運んでからマイナスのラストパス。これを受けたMF岩田夏澄(3年)が丁寧なコントロールから右足シュートをゴールネットに突き刺した。

 岩田は「自分はファーストタッチがシュートは命というか、ファーストタッチで決まると思うんで、あの自分が点取った場面は左足でしっかりファーストタッチ置けて右足振れたので、とても良い形だと思います」。流通経済大柏高の千葉内定GK松原颯汰(3年)を破る鮮烈な一撃。今年も「8」が市船を全国へ導いた。

 左もも裏の負傷により、岩田はこの決勝が今大会初出場。延長前半6分に待ち望んでいたピッチに立った。ベンチ、ウォームアップスペースから見ていたチームメートたちの姿は“格好良かった”という。「市船と流経って本当に県予選では一番ここがアツい試合だと思って、みんな気合入っていたし、球際もバチバチやっていて格好よく見えて……チャンスは少なかったけれど攻守ともに頑張っていた」。必死に流通経済大柏高に食らいついていた仲間のため、そして恩師・波多秀吾監督のためにも活躍したい――。その岩田は、ピッチに立つ前からヒーローになるイメージができていたという。

「アップから自分はそのイメージしかなくて。自分は絶対に一本はシュートを打って、絶対にその一本を決めると決めていた」。その思い通り、1本のシュートでヒーローになった岩田は「『今年も8番が動かしてやる』って思っていたので、本当に実現できて良かったです」と胸を張った。

 波多監督は岩田について、「サイズがないんですけれども、サッカーを良く知っている子でテクニックある子」と説明する。そして、「ああいう得点の感覚というか。本人も言っていましたけれども、昨日の練習の中もこぼれ球を良いミドルシュートを打っていましたし、プレミアの中でも決めていたので、得点のところには匂わせるような選手ではあります」と加えた。

 本人は自身について「やんちゃ」と言うが、「人間性は(波多)監督のおかげで変わっていると思います」。この日はゴール後に波多監督の下へ駆け寄り歓喜の抱擁。迷惑をかけてきたという恩師を涙させるような活躍を見せた。

 だが、目標は千葉制覇ではなく、全国制覇。「日本一を。波多先生を最後に胴上げできるように頑張りたい」と誓った。この日、決勝点を挙げ、チームメートやトレーナーを含めたスタッフに感謝したMFが全国でも歓喜のゴールを決める。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

TOP