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「先輩を超えることから逃げない」。前回日本一・山梨学院が5-0発進

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セットプレーの強さは今年も健在。後半13分、山梨学院高は左CKを右SB溝口慶人が頭で決めて2-0

[10.16 選手権山梨県予選3回戦 笛吹高 0-5 山梨学院高]

 昨年のチームを超える――。第100回全国高校サッカー選手権山梨県予選は16日に3回戦を行い、昨年度日本一の山梨学院高が笛吹高と対戦。今大会初戦となった一戦を5-0で制し、帝京三高との準々決勝へ進出した。

 山梨学院は日本一メンバーのMF谷口航大主将(3年)や新10番のMF大島悠斗(3年)が先発した一方、優勝メンバーの一人であるMF石川隼大(3年)が怪我の影響で欠場。注目FW茂木秀人イファイン(3年)はベンチスタートだった。

 立ち上がりからボールを支配して攻める山梨学院は、左のMF山口宇汰(3年)が仕掛けを連発。得意のCKを獲得すると、10分には左CKのクリアボールを繋ぎ、大島が左サイドからゴール方向へボールを入れる。これがゴール前の混戦を抜けて右ポストをヒット。跳ね返りをMF長島大翔(3年)が押し込み、先制した。

 笛吹は5バックで山梨学院を引き込み、俊足エースFW都倉悠人(3年)の一発へ持ち込もうとする。14分にGK畠田優雅(3年)が長島の決定的なヘッドをビッグセーブで阻止すると、直後に敵陣でMF伊藤大哉(2年)が相手のクリアをチャージ。ボールを拾った都倉が、カットインからの左足シュートを放った。

 山梨学院は、谷口が縦横無尽に動き回るなどセカンドボールを制圧。そしてボールを支配したが、球際でよく粘る笛吹の守備ブロックの中へ侵入できず、外側で繋ぐばかりになってしまう。FW佐竹祥太(3年)が再三抜け出しを狙っていたが、なかなか相手の守りを攻略することができなかった。

 それでも後半、山梨学院は相手WBを釣り出し、その背後を狙う効果的な攻撃。5分に大島の放った決定的なヘッドはゴールライン上でDFにかき出されたものの、13分にMF佐藤柊椰(3年)の左CKを右SB溝口慶人(3年)がドンピシャヘッドで合わせて2-0とする。

 26分には右サイドから崩し、最後はこぼれ球を山口が左足の強シュートで突き刺して3点目。32分には、終始気の利いた動きを見せていた大島が溝口のスルーパスで抜け出し、右足で4点目を奪う。笛吹はDF古屋大地(2年)のボールキープなどから前進し、都倉が左から仕掛けるが、山梨学院は溝口が対応するなど決定打を打たせなかった。

 逆に39分に山梨学院は、MF吉本堅翔(2年)のシュートのこぼれを茂木が難なく決めて5-0。長谷川大監督が「守備面で整理する力というのは、去年の選手権の学習したところ」と語る守備の対応力と、セットプレーの強さ、豊富な交代カードという昨年同様の強みも発揮して快勝した。

 山梨学院は日本一世代と比較されてきた一年。選手たちには比較されたくないという思いもあるだろう。それでも、長谷川監督は「先輩を超えることから逃げない。相手に勝つということと、先輩を超えるということは凄く大事なことだから。去年の先輩たちを一つずつ超えて行くこと」と求める。

 昨年を知る谷口も「全国出て、自分たちのチーム力の高さを証明して、去年よりも良いチームを作り上げていきたい。自分としては常に去年と比較しながら、さらに良いチームを作って行けたら良いと思っています」と語った。現状では一つ一つのプレーの質の部分などに差を感じていることも確か。だが、主将は「去年も選手権を通して成長したのがあるので、自分たちも選手権を通してレベルアップして、さらに全国出て、2連覇達成できるようにしたいです」と誓った。

 冬夏全国連覇を目指したインターハイは、山梨県独自のコロナ感染予防ルールに抵触。準々決勝・帝京三高戦の会場入りしながら出場辞退となり、涙を流した。その悔しさも持って臨む選手権。次戦はその帝京三との“リベンジマッチ”となる。

 溝口は「インターハイ辞退してから誰も下を向くことなく、お互いに切磋琢磨しながら前を向いてやれているのかなと思っています」と仲間と頑張ってきた日々への自信を口にし、谷口は「インターハイで試合できずに負けてしまったという一番大きな悔しさがあるので、その悔しさをぶつけて、勝って、そこで、(インターハイ予選優勝の帝京三よりも)自分たちの方が強いと証明して、まずは全国大会出場を目標にしていきたい」と力を込めた。選手権の厳しい戦いを勝ち抜きながら成長を続け、昨年を「超える」。

(取材・文 吉田太郎)
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