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[MOM3602]堀越DF中村ルイジ(3年)_負けず嫌いのサイドアタッカーが、先輩から受け継いだ“15番”で躍動

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都内屈指のサイドアタッカー、堀越高DF中村ルイジ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.17 選手権東京都予選Aブロック2回戦 保善高 0-3 堀越高]

 もはや“ラッキーボーイ”の面影は微塵も感じさせない。時にはキャプテンマークを巻く姿からも、中心選手としての確かな自覚が漂ってくる。

「自分に与えられたポジションをまっとうしなくてはいけないという想いと、チームのためには身体を投げ出してでも守備をしたり、攻撃では点を獲らないといけないという想いが、自分の中であります」。堀越高のナンバー15。DF中村ルイジ(3年=調布FCジュニアユース出身)は、自分たちの力で全国の舞台へ返り咲く覚悟を携えている。

「難しい展開になるのは前々から分かっていたので、それに対する対策をチーム一丸となってやってきたことが試合に出たのかなと。いつも練習してきたようにクロスの入り方だったり、クロスの質が少しずつ上がってきたことが、結果に繋がったのかなと思います」。3-0と勝利を収めた試合後、中村は終わったばかりの80分間をこう総括する。

 言及した“クロス”が勝利を手繰り寄せた。先制点は右からのクロスを、MF山口輝星(3年)が合わせたゴール。そして2点目も、やはり右からのクロスが起点となる。前半26分。サイドで前を向いたMF古澤希竜(3年)が中央を窺う。「練習から古澤選手が持った時にはしっかり中に入ろうという意識でやってきています」。中村は信じて走り込む。

「選手権同様、彼が持った時には良いボールが入ってくるという信頼がありますし、しっかりそこに走り込んで、実際に良いボールが来たので、しっかり頭に当てれば入るかなという感じでした」。昨年度の選手権3回戦。丸岡高(福井)戦の再現のようなホットライン開通。豪快なヘディングがゴールを貫く。

「左から右に展開した時には、必ず左サイドの山口選手や自分が中に入って仕留めるという練習をやってきたので、その結果が出たのかなと思います」。実際に右で作って、左で仕留める流れから2得点。明確な狙いを結果に結び付けられる力強さを、チーム自体が纏いつつある。

 ちなみに中村のゴールは、“負けず嫌い”に火が点いた結果でもあった。「ちょっと相手とかぶってしまって、前に入ろうかどうしようか迷ったんですけど、この試合の1本目のクロスに入った時に、前で触られてしまったのが悔しかったので、『しっかり自分が前に入って決めてやる』というのを意識して決めました」。もともとのポジションはストライカー。得点感覚も、ゴールを獲れる選手特有のメンタルも、頼もしい。

 昨年度のチームでは、選手権予選までフォワードの控えという位置付け。「去年の予選はフォワードをやっていて、尾崎選手や若松選手のパワーが凄くて、なかなか試合に出られずに少し悔しい想いをしたところもあったので、自分が予選で出してもらえるという嬉しい気持ちと、自分がしっかり仕事をするという気持ちで臨みました」。主力として臨む今大会には、並々ならぬ決意で挑んでいる。

 実は3年生のレギュラーが付ける背番号で最も大きい“15”には、先輩へのリスペクトが隠されている。「尾崎選手とは1年生の頃から仲良くしてもらっていて、『付けてみれば』というふうに言われたので、尾崎選手の気持ちも背負って戦えればいいかなと思って、15番を付けています」。昨年のチームを牽引したストライカー、尾崎岳人(現・東京国際大)の想いも背負い、ピッチに立っている。

 インターハイ予選は、勝てば全国大会という準決勝の帝京高戦で、後半アディショナルタイムに追い付かれ、延長戦の末に敗れる経験を味わった。「あの悔しい想いは絶対にしたくないという気持ちでチームとして選手権に挑んできましたし、『絶対に自分たちが東京を獲る』という目標で1年間が始まりましたし、自分たちの持ち味だったり、やってきたことを1つ1つ出せれば、勝てない試合はないと思うので、自分たちの色を出しつつ、しっかり勝ちを掴めればいいかなと思います」。

 過去の経験を確実に自身の力へ変え、一歩ずつここまで進んできた。ポジションも、立場も、関係ない。中村の発するエネルギーは、いつだって堀越に大きなパワーをもたらしていく。

(取材・文 土屋雅史)
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