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[MOM3691]鹿島学園FW松村尚樹(3年)_インハイは負傷欠場。仲間のためにゴールへ向かい、決勝点!

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後半32分、鹿島学園高FW松村尚樹が左足で決勝ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.5 選手権茨城県予選決勝 鹿島学園高 1-0 明秀日立高]

「絶望でしたし、終わったなという感じ」の夏を経験したストライカーが、鹿島学園高を全国へ導いた。0-0の後半32分、鹿島学園は交代出場のMF鈴木仁也(3年)が右サイドからロングスロー。ニアの壁を越えたボールをFW松村尚樹(3年=ガンバ大阪門真Jrユース出身)がゴールを背にしたまま右足でコントロールする。そして、振り向きざまに左足一閃。明秀日立高の岡山内定GK谷口璃成(3年)が守るゴールへ、決勝弾を突き刺した。

 このシーン、松村はヘディングの強いCB佐々木輝大(3年)とCB杉山諒(3年)の背後でこぼれ球を狙っていた。「シミュレーションできていたので。もらった瞬間にターンして打とうと。イメージ通りでした」という一撃でもたらした歓喜。松村はベンチ方向へ走り出すと、笑顔で待ち構える仲間やコーチたちの中へ飛び込んだ。

「(ゴールの瞬間、)最初はちょっと驚いたのと、その後めちゃくちゃ嬉しさがこみ上げてきて、嬉しかったです。(鹿島学園は)全員で戦っているので、(みんなと)喜びを分かち合いたいというのがあって、ボクのゴールだけじゃないので」。悔しい夏を過ごしたストライカーがチームを救った。

 松村は昨年度の選手権も経験している前線の軸。今夏のインターハイ予選でも2試合連続ゴールを決めたほか、前線での力強いボールキープなどで優勝に貢献した。だが、予選期間中に負傷していた松村は、予選後の練習で右足首を「思い切り」捻挫。インターハイには間に合わず、登録外となった。

 チームは全国大会1回戦で惜敗。「自分がケガしなかったらもっと勝てたかもしれないです」という思いがある。その松村はこの日、空中戦で抜群の強さを誇る相手CB長谷川皓哉(3年)の前に苦戦。それでも、「ゴールを常に奪おうとする気持ちを見せ続けないと。後ろも頑張っているので前が点を決めて結果を出さないと全員が報われないので結果を出すだけでした」と挫けなかった。そして、試合終盤に大仕事。鈴木雅人監督もエースストライカーのゴールを喜んでいた。

「インターハイで試合に出られずに本当に苦しい時期があったと思うんですけれども、本当に頑張ってくれて。ここ一番でやってくれたので良かった。(彼は)去年も選手権に出ていたメンバー。(だが、夏は全国大会に)連れて行くこともできなかった。それをバネに今回活躍してくれたので良かった」

 試合後、鹿島学園のロッカールームに明秀日立のMF中沢駿斗主将(3年)と長谷川が訪れてエール。長谷川は帰り際に松村の姿を見つけると、歩み寄って「全国、暴れろよ」。この言葉に呼応した松村は、全国大会で鹿島学園の仲間やライバルたちのためにも「悔いなく暴れたいです。(目標は)3点以上」と宣言。夏の悔しさも込めて戦い、必ずゴールを決めて勝利を喜ぶ。

(取材・文 吉田太郎)
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