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帝京大可児が4大会連続出場に王手! エース&点取り屋の不在感じさせず美濃加茂に3発快勝

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帝京大可児高3発快勝で全国出場に王手

[11.5 選手権岐阜県予選準決勝 帝京大可児高 3-0 美濃加茂高 グリーンフィールド中池]

 新チーム発足して直ぐにエースが重傷を負った。その後も主軸組に怪我人が相次ぎ、今予選も点取り屋が欠場中。チームの強化が思うように進まなかったのは、想像に容易い。しかし――。そうした逆境を跳ね返してきたチームは一回りも二回りも逞しくなり、危なげなく準決勝を突破した。

 5日、第101回全国高校サッカー選手権岐阜県予選準決勝が行われ、帝京大可児高が美濃加茂高に3-0で勝利。県内では1991年度まで9連覇を果たした岐阜工高以来となる4大会連続出場に王手を掛けた。

 今季のチームは負傷者に泣かされ、準決勝が始まる時点でも今年の軸となるべく選手を欠いていた。今年の3年生で唯一昨季からレギュラーを務めていたFW永井斗梧(3年)が1月に左膝の前十字靭帯を断裂。新チーム発足後1発目の練習試合でいきなり大怪我を負い、任される予定だった副キャプテンの座も降りた。診断は全治約8か月。ようやく先月から対人プレーを始めて準々決勝で復帰したものの、フル出場はまだ見込めない状況で美濃加茂戦もベンチスタートとなった。そして、FW長谷部希星(3年)も第二中足骨の骨折で経過を観察しており、手術となった場合は今シーズン中の復帰が叶わない。攻撃の要を欠くなか、この準決勝は攻撃陣の真価が求められる一戦となった。

 5バックで守備を固めきた相手に対し、帝京大可児は立ち上がりからボールを動かして相手ゴールに迫っていく。開始早々の前半2分には立て続けにCKを獲得し、あわやゴールという決定機を生み出す。点取り屋とエースの不在を感じさせない攻撃を見せると、同7分に決定機をモノにする。最前線で起用されたMF都築桜介(3年)が左サイドに流れてゴール前に折り返すと、飛び込んできたのは右サイドハーフのMF松本翔暉(3年)。プリンスリーグ東海の開幕戦で右の鎖骨を骨折してインターハイ予選を棒に振ったアタッカーが期待に応え、早い段階で1点を先行した。

 その後もテンポ良くボールを繋ぎ、攻撃を仕掛けていく。すると、前半38分にFW加藤隆成(1年)が加点。後半戦からポジションを掴んだルーキーが結果を残し、2点リードで前半を折り返した。

 後半は相手が4バックに移行して攻撃に人数を割いてきた影響で、押し込まれる時間帯が続く。「相手がガツガツくるのは分かっていたけど、受け身になって僕たちのミスが増えた」(松本)。最終ラインの位置も後退し、全体が間延びしてしまう。空いたスペースを使われ、MF續葛比呂(3年)を起点にカウンターを仕掛けられるシーンが目立った。

 前半はテンポの良い仕掛けを見せていた攻撃陣も苦戦。「前向きに奪っているのに、(何も考えずに)蹴るシーンがあった」と仲井正剛監督と反省を口にした通り、思うようにボールを繋げなかった。だが、チームはそこから持ち直す。後半15分を過ぎた頃からセカンドボールを回収できるようになっていく。攻撃でも相手のプレッシャーを外してボールを前に運べるようになり、再びゴールに向かうシーンが増えた。同26分に投入されたエースの永井も懸命にプレー。奪い返した主導権を最後まで相手に渡さず、同30分には都築がダメ押し弾。指揮官から「去年の領域にはまだ達していない」と言われていたチームが成長の跡を示し、夏に続く全国大会出場まであと1勝とした。

(取材・文 松尾祐希)
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