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壁を超えた注目ボランチ・北村一真、「国見高校で10番を背負っていることをまずは忘れず」選手権でチャレンジする

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名門・国見高の10番を背負うMF北村一真(3年=紀州ESFORCO FC出身)

 第101回全国高校サッカー選手権は29日、1回戦15試合が行われる。国見高(長崎)は、北海高(北海道)と初戦。優勝6回の伝統校が12年ぶりの選手権でまず1勝、そして全国制覇に挑戦する。

 MF北村一真(3年=紀州ESFORCO FC出身)は、1年時からレギュラーでU-17日本代表候補歴を持つ技巧派ボランチ。2年時から10番を託されたMFは、左右両足から精度の高いキックと視野の広さが特長で、ゲームメークやラストパスで違いを生み出す。

 木藤健太監督も「ちょっとずつ変わってきましたね。(壁を)グッと越えてきてアシストとか点に絡むことをやってきたので。(一つ壁を超えたことで)全国でもっともっと良さを出していけるかなと思います」と評する北村が、自身初の選手権へ向けた意気込みなどを語った。

―選手権出場が決まってホッとした。
「ホッとしました。自分たちの代は(周囲からの期待値が大きく)結構プレッシャーを掛けられていた代だったので。この代は行かなくちゃいけないという雰囲気が出ていたので、勝たなければならないと」

―これまでと今大会とでは、何が違った?
「やっぱり拮抗した試合で点を決めれるという決定力であったり、セットプレーとかも自分たちの代は集中してやっていたので、そういう細かな部分とかを徹底してやっていた結果が、最後の決勝の試合(創成館高に2-1で勝利)に繋がったのかなと思っています」

―インハイ予選は長崎総科大附のパワー、スピードに押し切られた。
「自分たちは夏の大会、インターハイで決定力不足とか、もうちょっと怖さがなかったので。選手権でもっと怖さを出してゴールに向かうというところを目的に、試合とかトレーニングとかを積み重ねてきたので、そこで決勝の舞台で出せたというのは良かったです」

―個人として予選のプレーは?
「自分は選手権前からセットプレーのCKやFKというのを常に自主練とかで暇があれば蹴って練習していたので、そこの部分を予選でかなり発揮できたのかなと思います。チームとしてはゴールへ向かう怖さであったり、奪った後の速い展開でサッカーをするというところが良かったかなと思います」

―10番のプレッシャーを乗り越えた。
「2年生の時にあまり調子が上がらず足踏みしていた部分があって、色々な人に助けてもらったお陰で自分も選手権までに立ち直ることができましたし、周りの支えがあったから頑張れたというのがあります」

―どのようなところを支えてもらった?
「(木藤)監督とかスタッフからも自分の調子悪い時とかに、『一人で背負わなくて良い』とか、『味方を信じてやる』というところを言われていたので、そこは自分では追い込まなくても良いのかなと軽くなった気持ちでした。一人で、『自分がやらなくてはいけない』というのがあったけれど、みんなが軽くしてくれた」

―その思いがいつ頃まであった?
「(2年生の時に)代表に選ばれたじゃないですか、そこで『自分がやらないといけない』というのがあって、そこから空回りしてしまって、調子が上がらずプリンス(リーグ九州を)終えてしまって、(2年時の)選手権でも自分の納得の行くプレーはなかったので。最終学年になってから変われましたね」

―今の手応えは?
「自分は周りの評価とかを気にしてしまうので。周りの評価ではなくてサッカーをしているのは自分自身なので、周りのことは気にせず、とことん楽しんでサッカーをやりたいなと思います」

―サッカーで一番楽しいのは?
「勝つことですよね。2年生の時とか、プリンスでなかなか勝てない時期が続いてメンタル的にも追いこまれて、そこから降格してしまってモチベーションも落ちてしまうという状況で。3年生になってみんなでプリンスに上げようと言っていたんですけれども、上げることはできなかった。それでも、やっぱりモチベーションを上げて『選手権、頑張ろう』とやってきました」

―自分が表現できていることも変わった。
「(以前は)安牌なプレーが多かったので。自分、1年生の新人戦(九州大会優勝)とかはミスしても次、次という感じがあったんですけれども、代表とか注目されてくるとそういう(リスクの少ないプレーを選択する)ところがあった。そこから、どんどんミスしても良い、次、次という形になって思い切りプレーできるようになった」

―ゲームメーク力に加えて、スルーパスなど一本のパスで違いを作ることもできる。
「予選では自分、結構警戒された部分があって思うように行かせてくれなかったんですけれども、選手権では多分、自分の思った以上のプレーが出しやすいのかなと思っている」

―改めて見て欲しいところは?
「自分は両足のキックだったり、展開力だったり、セットプレーのキックの精度であったり、そこを3年間積み上げてきたので、そこを見て欲しいと思います」

―伝統の10番を背負って選手権のピッチに立つ。
「国見高校で10番を背負っていることをまずは忘れず、チャレンジャーとして挑みたいと思います」

(取材・文 吉田太郎)
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