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[MOM4166]四学大香川西DF福平太一(3年)_仲間の声援を力に変えたゲームキャプテンが気合の同点弾!

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四国学院大香川西高のゲームキャプテンを務めるDF福平太一

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[12.29 全国高校選手権1回戦 羽黒高 2-3 四国学院大香川西高 NACK5スタジアム大宮]

 預かっている“キャプテン”の重みは、十分に感じている。40人の3年生を代表してピッチに立っているのだ。その上、スタンドからあれだけの声援を送られてしまっては、戦わないなんて選択肢があるはずもない。

「声が聞こえるたびに『もっと走らなきゃ』『もっと足を出さなきゃ』と思えましたし、その一歩が出せるか出せないかで結果も変わってくると思うので、スタンドの仲間の存在は非常に大きいです」。

 四国学院大香川西高(香川)のゲームキャプテンを任された右サイドバック。DF福平太一(3年=府ロクジュニアユース出身)はチームメイトの想いを背負い、サイドを走り続けている。

 入学してから3年目でようやく立った選手権のピッチ。緊張しないはずがない。しかも開始4分で失点を喫する最悪の展開を強いられたが、「全国大会というプレッシャーもあってか、なかなか立て直せなかったんですけど、応援の力が大きくて、チャンスも多く作れるようになっていきました」と、応援席から最も近い右サイドでプレーしていた福平は、仲間のパワーを感じていたという。

 チャンスは作りながら、なかなか同点ゴールが生まれない流れの中で、32分にCKのチャンスがやってくる。「相手が対応してきたら、ちょっと目先を変えようとか、塩川と辻本と山田の3人でいつも作戦を考えています」(福平)。コーナーアークに立ったMF山田晃市(3年)がまたぎ、DF辻本海琉(3年)が蹴ったボールは、ニアのMF塩川直幸(3年)の頭上を越える。

 ターゲットになった5番が頭で叩いたボールが、ゆっくりとGKの頭上を越えてゴールネットへ吸い込まれていく。「メチャメチャ嬉しかったです。全国のゴールは特別ですね。」と笑った福平のゴールから3分後にも、やはりCKからDF小島大空(2年)の得点で一気に逆転した四国学院大香川西は、後半にも1点を追加。終盤は押し込まれる時間が続いたものの、3-2で逃げ切りに成功。ゲームキャプテンの同点弾がチームに大きなパワーをもたらしたことに疑いの余地はない。

 今年の四国学院大香川西はインターハイ予選で2回戦敗退を突き付けられたが、これが大きなターニングポイントになったという。「『負けたから切り替えるしかない』とキャプテンの谷と副キャプテンの中島が言ってくれて、最初はそこに僕も付いていく感じでした」と福平。キャプテンのGK谷将貴(3年)と副キャプテンのDF中島嘉人(3年)が中心となり、チームは改めて日常の取り組みを見直していく。

「部員が多くて、練習場が分かれてしまうと意識の差も出てきてしまうので、各カテゴリーの“気持ちが入っている人”を呼んで、『まとめてくれ』と声を掛けたり、Aチームでは自分が一番声を出してまとめる存在じゃないとダメだと思ってやってきました」。福平もリーダーとしての自覚が少しずつ増していく。

 とりわけ谷への想いは人一倍強い。「一言で言うと熱い男で、走りの練習でも、暑い時でも、寒い時でも、苦しい状況でも一番声を出していますし、寮でも頼れる存在なので、本当にキャプテンに向いているんです」。だからこそ、“ゲームキャプテン”を託されてピッチに立つ以上はアイツの分までと、いつでも100パーセントで今と向き合ってきた。

 この日の終盤も苦しい時間が続いたが、谷を筆頭にスタンドから注がれる仲間の声援が、福平の、みんなの攣り掛けている足を動かしていく。「走り負けたらゲームも負けるというのが自分たちの考えで、勝っている中ではなおさら走ることが大事だったので、カウンターもみんなで戻って、ラインを上げるのもみんなで早くしてと、そこは全員でできたかなと思います」。勝利を収めた試合後。スタンドのみんなと共有した笑顔が何よりも嬉しかった。

 もともと福平は東京出身。進学のキッカケは偶然だった。

「3年前に駒沢でやっていた選手権の香川西対日本航空の試合をたまたま見に行った時に、『こういうチームがあるんだな』ということを知って、日本航空も学校を見に行ったんですけど、最終的に『知らないところで寮生活をしてみたいな』と思ったので、先に1回学校だけ見に行って、東京に帰ってきて、また練習会に行って、それで香川西に決めました。周りの人からは『どこの学校?』みたいに言われましたけど(笑)、結果的に全国に出られたので良い選択だったと思います」。

 今では3年間を過ごしたこのチームと、仲間への想いはとにかく強い。このチームメイトと、1試合でも多く、1試合でも長く。次の相手はインターハイ王者の前橋育英高(群馬)だが、もちろんそう簡単に負けるつもりなんて毛頭ない。

「どれだけ強いのか楽しみです。今日も山形のチームで、全然知らないチームでしたし、次も群馬のチームで、練習試合も1回もしたことがない相手なので、逆に楽しみですね」。

 次の試合も、仲間の声援を力に変え、スタンドのすぐ横のピッチを80分間走り続けるゲームキャプテンが、チームに大きなエネルギーをもたらしていくはずだ。

★高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチを応援するsfidaは、第101回全国高校サッカー選手権大会のオフィシャルパートナーです。


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(取材・文 土屋雅史)

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