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セットプレーからの4発で4-0勝利。初の夏冬連覇へ、チャレンジャーの宮崎日大が8強入り:宮崎

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後半6分、宮崎日大高はCB北村嘉都が左足でこの日2点目のゴール

[10.9 選手権宮崎県予選3回戦 小林秀峰高 0-4 宮崎日大高 綾町小田爪陸上競技場]

 初の夏冬連続全国出場へ一歩前進――。第102回全国高校サッカー選手権宮崎県予選は9日に3回戦を行い、インターハイ予選優勝の宮崎日大高が4-0で小林秀峰高に快勝した。宮崎日大は今月14日の準々決勝で宮崎工高と戦う。

 宮崎日大は5-0で勝利した都城高専との初戦からメンバーを大きく入れ替え、この日は主力組が登場。立ち上がりからボールを圧倒的に支配し、攻め続けた。相手のプレッシャーが来なかったことから、横浜FC内定の左SB松下衣舞希(3年)が自発的にボランチの位置でのプレーを増やしてビルドアップに参加。ロングボールを交えて素早くボールを動かしたが、守備意識高く11人で守る小林秀峰も健闘する。

 16分、宮崎日大は松下のグラウンダーの縦パスからFW樋田聖大(3年)が鋭いターン。決定機になりかけたが、この日好守を連発していたDF淵上琉太郎(2年)が素早いカバーリングでシュートを打たせない。また、小林秀峰は1年生GK赤垣龍飛や左WB青屋柊佑(3年)の好守もあった。そして、セカンドボールを拾って速攻へ持ち込もうとする。

 だが、宮崎日大は相手が攻め切る前にボールを奪い返して攻撃を継続。MF小畠優輝主将(3年)や樋田がスペースへの動きを繰り返し、右SB今泉斗翔(3年)らが正確な配球を見せる。そして、22分、MF松添隼大(3年)の左CKをタイミング良く中央に入ったCB北村嘉都(3年)が頭で決めた。

「何本か最初にCKがあって、自分の中で真ん中へんにボールが来たらフリーでシュート打てるという感覚があって、それを感じた通りに行ったらドンピシャでボールが来て、完璧です」という北村の先制ヘッド。だが、全体的にサイドの位置が低くなったことでクロスを増やせず、35分ハーフの前半に2点目を奪うことができなかった。

 それでも、宮崎日大は後半6分、MF中村蒼(2年)の右ショートコーナーからMF矢田彩都(3年)がクロス。ファーに流れたところを北村が左足でゴールへ流し込んだ。

 北村はこの日2得点目。公式戦のゴールは1年生大会以来だというCBは、「ハーフタイムの時に2点目が大事と言われていて、セットプレーで自分が点を取ってチームに貢献したいなと思っていてやったら上手いこと転がってきた。CBなので守備の部分で相手に絶対にやらせへんだったり、体を張ってゴールを守ったりとか、セットプレーの攻撃だったら点を取れるところはちゃんと点を取りたい」。北村の活躍で大事な2点目を奪った宮崎日大はさらに10分、中村の左足CKをニアの小畠が頭で合わせて3-0とした。

 小林秀峰は選手交代に伴い、最終ラインで奮闘していた10番DF立山航大(3年)、DF川野抄悟(3年)、淵上のポジションを上げ、1点を奪いに行く。そして、ゴールに迫るシーンも。だが、宮崎日大はゴール前でブロックするなど枠にシュートを打たせない。

 逆に宮崎日大はゴールへ向かう動きやハイサイドを突く動きが増加。小畠の奪い返しや交代出場のMF黒木日賀(2年)のドリブル突破などから追加点を目指す。そして34分、中村の左足FKを樋田が頭で決めて4-0とした。小林秀峰は、終了間際に相手MF中村のループシュートを交代出場DF末山和弥(3年)が体を投げ出してスーパークリア。最後まで諦めずに戦ったが、夏の王者が8強入りを決めた。

 宮崎日大はこの日、複数のけが人がいたほか、プリンスリーグ九州2部で11得点とゴール量産中のエースFW大塚虎太郎(3年)も欠場したが、その中で快勝。南光太監督は、「ボールを動かしすぎてゴール前に行けず、ちょっと迫力が足りなかったので後半は立ち位置とか変えさせて。結局全部セットでしたけれど、こういう試合ではセットも大事かなと思う。(4-0というスコアは)十分良くやった方だと思います」と評価した。

 指揮官が「慢心な気持ちはない」と頷くように、選手たちは挑戦者の姿勢を徹底。小畠は「僕たちは別に夏勝っただけでずっと強い訳でもないですし、チャレンジャーというところをずっと声を掛けているので、天狗になることなく、そこはみんなで声を交わし合っています」と説明する。

 2点をリードしながら追いつかれてPK戦で敗れたインターハイ1回戦(対関西大一高、大阪2)も糧に。小畠は「心の甘さが出て、冬はそういうところをなくそうと。相手がどういうチームでも、勝っていても、そこは緩めることなく、鼓舞しながらやっていくというのが変わったところです」と評したように、この日は最後まで攻め続けて4点目をもぎ取った。まずは目の前の一戦一戦に集中。その上で「初の2冠もみんなの目標として掲げています」(小畠)。インターハイ予選では前評判の戦った日章学園高を破ってインターハイ初出場。選手権でも挑戦者と戦い続けて目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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