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[MOM4472]鵬学園MF丸山哉太(3年)_存在感際立つ背番号10が1G1A!! 決勝は累積で出場停止も「自分がいなくても勝てるチーム」

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攻守両面でチームを引っ張った鵬学園高MF丸山哉太(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.28 選手権石川県予選準決勝 鵬学園高 3-3(PK4-2) 金沢学院大附高 金沢市民サッカー場]

 今年の鵬学園高はチーム史上最強との呼び声があった昨年から大きくメンバーが様変わりし、経験値の浅い選手が揃う。数少ない昨年の経験者として期待され、10番を授かるのがMF丸山哉太(3年)。赤地信彦監督が「アイツがいないとゲームが締まらない」と信頼を寄せるボランチだ。実際、試合を見ると存在感は際立っている。1点を追い掛ける展開を強いられた金沢学院大附高との準決勝は彼がいなければより苦戦を強いられていたかもしれない。

 前半は相手の俊足FW櫻井鳳雅(3年)に背後を取られないよう意識し過ぎるばかり、チーム全体でラインが下がり過ぎていた。攻撃も試合前に振った大雨の影響で、なかなかパスを繋げない。攻守ともに苦戦を強いられた鵬学園にとってアクセントになっていたのは、丸山が3列目から繰り出すドリブルでの持ち運び。「ドリブルは得意ではない」と言い張るが、前半23分にはセンターライン付近でボールを受けるとそのままの勢いでPA左まで攻め上がった。

「1度仕掛けたら相手がパスを狙っていると感じた。パスに対して足元を強く行こうとしていると思ったので、ドリブルで運んだらそのまま行けると思った。そのまま今日は行ってみようかなって」。そう振り返る丸山は以降も機を見ては前に出て行く。後半はチームのラインを上げようとDFラインに伝えつつ、攻撃に絡むため自らも高い位置にポジションを取っていく。

 そうして迎えたのが、1-2で迎えた後半40+7分の場面。左サイドから入ったロングスローのこぼれ球を高い位置で拾うと、ミドルシュートをゴール右上に突き刺し、同点に追い付いた。延長前半9分には丸山が低く入れた左CKから、DF山崎快(3年)の勝ち越し点も生まれる。延長後半の終了間際に3-3とされ、結果的にはPK戦での勝利となったが、1得点1アシストの活躍を見せた丸山抜きで今日の試合は語れない。

 勝利への貢献はプレーだけに留まらない。2度の追いかける展開を強いられ、勝利目前の延長後半10分に追い付かれもした。気持ち的に楽な時間帯は少なかったが、丸山は苦しい表情を決して見せない。「しんどかったけど、相手に見せたら向こうの思うつぼだなと思った。逆に“行けるっしょ”みたいな雰囲気だと、相手に“コイツまだやろうとしている”と思われて、怖い存在になれるかなと思っていた」。そう振り返る丸山は、チームにポジティブな雰囲気を作るため、声と態度で“点は取れるから大丈夫”と伝えていたという。苦しい試合を楽そうに見せられたのは、勝因の一つかもしれない。

 勝利の立役者となった丸山だが、準々決勝に続いてイエローカードを貰ったため、決勝は累積で出られない。「決勝に出られないのも人生。全てが上手く行くわけではない」と苦笑いしつつも、前を向くのは試合中終始ポジティブな姿勢を貫いた丸山らしい。「自分がいなくても勝てるチームだと思うので、この1週間伝えられることは伝えたい。自分ができることは決勝に向けてやっていきたい」。

 今年の鵬学園の特徴は団結力だという。攻守の大黒柱がいないのは痛手かもしれないが、この一年みんなで話し合い手を取り合いながらチーム作りを進めてきた。決勝も仲間たちが一致団結して戦い、丸山を全国の舞台に連れていってくれるはずだ。

(取材・文 森田将義)

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森田将義
Text by 森田将義

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