beacon

[選手権]創部8年目の上越は0-2から一時逆転も、延長戦で敗れて初の決勝届かず。元Jリーガーの藤川祐司監督「物語の続きを見て欲しい」:新潟

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半2分、上越高MF梅澤龍翔が右足で勝ち越しゴール

[11.3 選手権新潟県予選準決勝 上越高 3-4(延長)開志学園JSC高 五十公野公園陸上競技場]

 16年の創部から8年目。上越高は初の選手権予選決勝進出に迫ったが、紙一重の勝負に敗れ、涙をのんだ。

 前半16分までに2点を献上したものの、同29分、中盤で攻守に奮闘していたMF小林優大(1年)が左足CKを直接決めて1点差。さらに39分には、FW石戸珠莉也(3年)との連係からFW今井律杜(3年)が右足シュートを叩き込む。

 前半のうちに同点に追いついた上越はさらに後半2分、MF梅澤龍翔(3年)の左ロングスローから、前線で存在感を放っていた今井が強引に右足シュート。こぼれ球を梅澤が右足で押し込み、逆転に成功した。

 上越はバックスタンドの控え部員や同級生、メーンスタンドの父母含めてアツい応援。10番MF望月洸聖(3年)の落ち着いたゲームメークやゴール前での迫力のある攻撃、そしてGK伊海央祐主将(3年)を中心とした粘り強い守りで勝利に近づいた。

 だが、後半17分にセットプレーから同点に追いつかれると、延長前半開始直後の失点で3-4。その後も今井のスルーパスに望月が反応し、右クロスからMF白井翔(3年)が決定的なヘッドを放つなど反撃したが、再びスコアを動かすことはできなかった。

 上越は水戸や大分でプレーした元Jリーガー、藤川祐司監督がサッカー部発足当初から携わり、チームを強化してきた。土のグラウンド、県4部リーグからのスタートも一歩一歩前進。2年前の選手権予選で初の4強入りを果たした。指揮官は今年、「(始動時は)リーグ戦残留とベスト8くらいかなと思っていました」と振り返るが、我慢強く戦えるチームに成長。県1部リーグを制し、選手権予選でも再び準決勝まで勝ち上がってきた。

 そして、初の決勝進出に近づいたが、藤川監督は冷静にまだチーム力が不足していたことを指摘する。準決勝へ向け、部内でインフルエンザが流行。細心の注意を払ってきたが、準決勝で出場予定の選手も欠くなど他の強豪校との差になった。サッカー面でもここまで現実を見ながら、一つ一つやれることを身につけてきたものの、勝負の肝を握ることはできず、「(決勝進出は)『まだ、早いよ』と言われた気分です」(藤川監督)。

 それでも、人工芝グラウンドの完成など周囲のサポートを受け、短期間で激戦区・新潟で台頭していることは事実。実力、意識の高い選手も増えてきており、今後が楽しみなチームであることも間違いない。藤川監督は「物語の続きを最後まで見て欲しい」。惜敗の悔しさも力に、この日先発した小林や右SB松林大翔(2年)、左SB松澤煌成(2年)らが中心となって、来年必ず歴史を塗り替える。

(取材・文 吉田太郎)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP