beacon

[MOM4488]明徳義塾DFメフタ・ラヤン(2年)_モロッコにルーツを持つ2年生CBが躍動! 主力DFの離脱をきっかけに守備の柱へ急成長

このエントリーをはてなブックマークに追加

DFメフタ・ラヤン

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 選手権高知県予選準決勝 明徳義塾高 3-0 高知商高 春野総合運動公園球技場]

 すらりと長い脚を活かしたタックルと空中戦の強さは目を見張る。CAFチャンピオンズリーグを制したこともあるウィダード・カサブランカの育成組織でプレーしていたモロッコ人の父親から受け継いだ身体能力は、唯一無二の武器だ。

 3年ぶりの選手権出場を目指す明徳義塾高にとって、CBメフタ・ラヤン(2年=兵庫FC)は欠かせない存在になりつつある。11月3日に行われた高校サッカー選手権の高知県予選準決勝でも、その才能をいかんなく発揮した。右のCBで先発出場すると、ロングボールを軸に仕掛けてくる高知商に対して怯まず立ち向かう。何度も何度もボールを跳ね返し、地上戦では得意のスライディングタックルでピンチを未然に阻止。最後まで集中力を切らさずに戦い、チームの完封勝利に大きく貢献した。

「ラヤンが安定してきた。今までは思わず頭を抱えてしまうようなプレーもあって、上背はあるけどヘディングが飛ばない、ボールは蹴れない、1対1も弱い。でも、本当に成長したと思いますよ」

 指揮官も賛辞を送ったが、実は3ヶ月前までレギュラーの座を掴めていなかった。モロッコにルーツを持つラヤンはイスラム教徒で、夏のインターハイ予選はラマダンの影響によるコンディション不良で試合に絡めなかったのだ。

 その後も状態が上がらず、身体能力の高さを活かせずにいた。しかし、夏にそれまでレギュラーを務めていたCB高山拓巳(3年)が負傷で長期離脱を余儀なくされる。そのタイミングでレギュラーに抜擢されると、経験を積んでメキメキと頭角を表した。

 その成長ぶりはチームメイトも驚くほどだ。

「本当に努力家。いつも練習が終わると、筋力トレーニングに励んでいる。高山が怪我をした以上、自分がやるしかないという自覚を持っているし、本当に夏以降頑張ってくれた」(キャプテン・FW吉田凱=3年)

「最初の方は全然だったけど、最近は本当にすごい。高山さんが戻ってきても、そのままラヤンが出るんじゃないかなって思うぐらいに成長している」(MF徳能伊織=2年)

 先輩からも同級生からも認められたが、本人は自身のパフォーマンスに全く満足していない。

「相手によるけど、前からプレスをかけてくるチームや逆に引いて守ってくるチームなど、いろんなチームに対応できる技術と状況判断がまだまだ僕は低い。それは練習で培えると思っているので、練習からかなりポゼッションの部分は意識をしている。パスを貰う前にどこが空いていて、どこにパスを出せるのか。そこはもっと鍛えたい。フィジカルもまだまだだけど、状況判断と足元の技術は高めていきたいです」

 182cmのサイズに加え、スピードも持ち合わせている。そこに技術や判断力が加われば、次のステージで大化けしたとしても不思議ではない。

 今冬に選手権の舞台に立てれば、大学やJのスカウトにも見てもらう機会が増える。真面目な性格はCB向きで、謙虚な姿勢で向上心を持ち続けられるメンタリティーもプロ向き。「行けたらいいではなく、プロは絶対に行きたい」と言い切る“明徳”の成長株は、さらなる成長を目指して決勝のピッチに立つ。

(取材・文 松尾祐希)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
松尾祐希
Text by 松尾祐希

TOP