[MOM4507]市立船橋MF太田隼剛(3年)_機転を利かせて先制アシスト。進化した左足で直接FK弾も
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.5 選手権千葉県予選準決勝 市立船橋高 4-1 拓大紅陵高 柏の葉公園総合競技場]
主将が優れた判断力と左足の精度によって相手との差を生み出した。市立船橋高は前半7分、左サイドでFKを獲得。キッカーのMF太田隼剛主将(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)が、拓大紅陵高DFの準備が整う前に左足で中央へ蹴り込む。これをCB宮川瑛光(3年)が頭で合わせ、先制点となった。
太田は10月25日に平日開催されたプレミアリーグEAST・川崎F U-18戦でも同様の左FKからアシストしている。主審が笛で試合を止めないように行動。そして、相手がマーク等の確認をしている最中にクイックFKでボールを蹴り込み、FW郡司璃来(3年)が決めた。このアシストがきっかけとなり、優勝争い中の相手に逆転勝ち。選手権予選へ弾みをつけている。
今回も、事前の動画分析で拓大紅陵高のセットプレーでの準備にやや時間が掛かっていることを把握。「チームの中で共有があったので、『自分がキッカー行った時に狙えるやつ狙って欲しい』と前日に話していたので、あそこは自分だけはないのでチームとして役割を果たしてくれた」。太田はクイックでのFKから宮川の頭へドンピシャのボールを蹴り込み、歓喜の起点となった。
「(精度については)プレースキッカーを務めている以上、そこは自分の仕事だと思うので、しっかりと自分の役割ができたので良かった」。小柄なレフティーは市立船橋の球際・切り替え・運動量の三原則を率先して表現。ボランチの位置でビルドアップに係わり、時に1タッチを交えたり、上手く相手からボールを隠しながら前後左右へと動かした。そして、スルーパスでチャンスメークしていた太田は、後半3分に中央右寄りの位置から直接FKを右隅に決めた。
「GKがちょっと左に寄っていたので、スピードよりもコースにちゃんと蹴り込めば入ると思った。ハーフタイム、ロッカールームの中で『次の1点で流れが変わるぞ』と話して3点目が大事という中で自分が決められたのは良かったと思います。自分のキックは自信があるので、ああいうちょっと遠くでも狙える自信があるので、思い切って狙って入って、チームとしても試合を楽に運べたので良かった」
この日の活躍について、本人はチームメートのお陰であることを強調していたが、努力の賜物であることも間違いない。昨年もプレースキッカーを務めていたものの、まだ絶対の自信は無かった。だが、今年、自主練で様々な角度、距離からFK練習。チームメートに“人壁”役をしてもらうなどサポートを受けながら積み重ねてきたことが、インターハイ・大津高(熊本)戦での先制弾や現在に結びついている。
「キックの部分はFKだけじゃないですけれども、ロングボールだったり結構蹴り込んでいるので、そこは成長があると思っています。(昨年については、)結果に繋がるキックはあまりなかった。今年はプレミア(リーグ)でセットプレーからのアシストとかあったので、そこは自分自身の成長なのかなと思っています」
大学経由でのプロ入りを目指す太田にとって左足は生命線だ。「プロにはもっと左足の上手い人とかいると思うし、正確性もそうですけれどもやっぱり練習参加して、スピードはプロになってくると違ってくるなと感じたので、繊細さも大事ですけれども、パワーの部分でもっと蹴り込まないといけないのかなと思っています」。Jクラブの練習参加を経験し、左足の精度、パワーを向上させる必要性を実感。将来のために、まだまだ貪欲に磨いていく考えだ。
11日の決勝は、名門・市立船橋にとっても、入学後1度も選手権の舞台に立てていない太田にとっても、絶対に負けられない戦いだ。波多秀吾監督が「去年からゲームキャプテンをやっていますし、今年は主将をやっているので、ゲームコントロールとかは彼中心にやっていて、(先制点のシーンのような)ああいう機転を利かせた、相手の嫌がるプレーをするのが彼の良さでもありますし、ゲーム全体を通して締めるところを締めながら、やるべきことをやりながらというのも彼の持ち味かなと思います」と評するリーダーにとって、“最後の選手権”。武器であるセットプレーを含めてチームを仕上げ、まずは3年ぶりの千葉制覇を果たす。
(取材・文 吉田太郎)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
[11.5 選手権千葉県予選準決勝 市立船橋高 4-1 拓大紅陵高 柏の葉公園総合競技場]
主将が優れた判断力と左足の精度によって相手との差を生み出した。市立船橋高は前半7分、左サイドでFKを獲得。キッカーのMF太田隼剛主将(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)が、拓大紅陵高DFの準備が整う前に左足で中央へ蹴り込む。これをCB宮川瑛光(3年)が頭で合わせ、先制点となった。
太田は10月25日に平日開催されたプレミアリーグEAST・川崎F U-18戦でも同様の左FKからアシストしている。主審が笛で試合を止めないように行動。そして、相手がマーク等の確認をしている最中にクイックFKでボールを蹴り込み、FW郡司璃来(3年)が決めた。このアシストがきっかけとなり、優勝争い中の相手に逆転勝ち。選手権予選へ弾みをつけている。
今回も、事前の動画分析で拓大紅陵高のセットプレーでの準備にやや時間が掛かっていることを把握。「チームの中で共有があったので、『自分がキッカー行った時に狙えるやつ狙って欲しい』と前日に話していたので、あそこは自分だけはないのでチームとして役割を果たしてくれた」。太田はクイックでのFKから宮川の頭へドンピシャのボールを蹴り込み、歓喜の起点となった。
「(精度については)プレースキッカーを務めている以上、そこは自分の仕事だと思うので、しっかりと自分の役割ができたので良かった」。小柄なレフティーは市立船橋の球際・切り替え・運動量の三原則を率先して表現。ボランチの位置でビルドアップに係わり、時に1タッチを交えたり、上手く相手からボールを隠しながら前後左右へと動かした。そして、スルーパスでチャンスメークしていた太田は、後半3分に中央右寄りの位置から直接FKを右隅に決めた。
「GKがちょっと左に寄っていたので、スピードよりもコースにちゃんと蹴り込めば入ると思った。ハーフタイム、ロッカールームの中で『次の1点で流れが変わるぞ』と話して3点目が大事という中で自分が決められたのは良かったと思います。自分のキックは自信があるので、ああいうちょっと遠くでも狙える自信があるので、思い切って狙って入って、チームとしても試合を楽に運べたので良かった」
この日の活躍について、本人はチームメートのお陰であることを強調していたが、努力の賜物であることも間違いない。昨年もプレースキッカーを務めていたものの、まだ絶対の自信は無かった。だが、今年、自主練で様々な角度、距離からFK練習。チームメートに“人壁”役をしてもらうなどサポートを受けながら積み重ねてきたことが、インターハイ・大津高(熊本)戦での先制弾や現在に結びついている。
「キックの部分はFKだけじゃないですけれども、ロングボールだったり結構蹴り込んでいるので、そこは成長があると思っています。(昨年については、)結果に繋がるキックはあまりなかった。今年はプレミア(リーグ)でセットプレーからのアシストとかあったので、そこは自分自身の成長なのかなと思っています」
大学経由でのプロ入りを目指す太田にとって左足は生命線だ。「プロにはもっと左足の上手い人とかいると思うし、正確性もそうですけれどもやっぱり練習参加して、スピードはプロになってくると違ってくるなと感じたので、繊細さも大事ですけれども、パワーの部分でもっと蹴り込まないといけないのかなと思っています」。Jクラブの練習参加を経験し、左足の精度、パワーを向上させる必要性を実感。将来のために、まだまだ貪欲に磨いていく考えだ。
11日の決勝は、名門・市立船橋にとっても、入学後1度も選手権の舞台に立てていない太田にとっても、絶対に負けられない戦いだ。波多秀吾監督が「去年からゲームキャプテンをやっていますし、今年は主将をやっているので、ゲームコントロールとかは彼中心にやっていて、(先制点のシーンのような)ああいう機転を利かせた、相手の嫌がるプレーをするのが彼の良さでもありますし、ゲーム全体を通して締めるところを締めながら、やるべきことをやりながらというのも彼の持ち味かなと思います」と評するリーダーにとって、“最後の選手権”。武器であるセットプレーを含めてチームを仕上げ、まずは3年ぶりの千葉制覇を果たす。
祝福に応える
前半7分には相手の意表を突くクイックリスタートで先制アシスト
(取材・文 吉田太郎)
●第102回全国高校サッカー選手権特集