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[MOM4517]草津東FW森健斗(3年)_スーパーサブが先発起用に応える先制弾! MIOびわこ滋賀U-15最強世代を見て育ったアタッカーが最後に懸ける熱き想い

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FW森健斗

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.5 選手権滋賀県予選準決勝 草津東高 3-0 水口高 布引グリーンスタジアム]

 今から4年前。中学2年生だったFW森健斗(3年=MIOびわこ滋賀U-15)は先輩たちの活躍を見逃すまいと、熱い視線を送っていた。FW木戸晴之輔(京都産業大←鳥栖U-18)やU-15世代のオールスターゲーム“メニコンカップ”でMVPを獲得したFW池田怜央(びわこ成蹊スポーツ大←G大阪ユース)といったタレントを擁し、夏のU-15クラブユース選手権でベスト8に進出。次々にJクラブの育成組織を撃破していく姿に、目を輝かせていた。

 次こそ自分が――。MIOびわこ滋賀U-15の黄金世代の一学年下だった森は「全国舞台で活躍する」と意気込んで中学ラストイヤーを迎えたが、同年は新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの大会が中止に。例に漏れず、夏の全国舞台も開催されなかった。
 
 中学時代に叶わなかった目標を果たすべく、草津東高へ入学した森だが、その願いは未だに果たせていない。1年次の選手権は県予選を突破したが、自身はベンチ外。昨夏のインターハイも応援組に回り、仲間たちの活躍を外から見守ることになった。

 そして、迎えた高校最後の年。森はAチーム入りを果たし、レギュラーの座は掴めなかったが、途中からピッチに立つ機会が多くなった。しかし、夏のインターハイは県予選決勝で近江高に0-3で敗北。自身も出場機会が巡ってこず、本大会まであと1勝まで迫りながら全国舞台をまたしても経験できなかった。

 あれから5か月。攻撃の切り札としての地位を掴み、今予選はスーパーサブとして活躍。比叡山高との準々決勝では0-0で迎えた後半開始から投入され、3-4-2-1のシャドーのポジションに配置された。すると、得意のドリブルでチャンスを演出。2列目から最前線にポジションを上げた2年生10番MF上原周とも好連携を見せ、チームの勝利に貢献した。

「後半の配置に手応えを感じたので、準決勝ではスタートから採用した」(牛場哲郎監督)

 攻撃の切り札からスタメンへ。準々決勝のパフォーマンスが評価され、水口高との準決勝では今予選初の先発起用となり、序盤から機動力を生かした仕掛けで存在感を示した。

「スタートからプレーできるぐらいの力を持っている」とキャプテンのMF小楠聡太(3年)からも信頼を寄せられたアタッカーは再び躍動。そして、前半10分に大仕事をやってのける。ペナルティエリア手前でルーズボールを拾うと、シュートモーションに入った。しかし、森は慌てず、迫ってきた相手DFを冷静に外す。「ワンタッチでずらして、しっかり狙ったところに打てた」。狙い澄ましたコントロールショットはゴール右下に決まり、チームに貴重な先制点をもたらした。

 前半から飛ばした影響に加え、普段は途中出場が多かったため、体力が尽きた64分にお役御免。それでも十分すぎる活躍で、チームの勝利に貢献した。

 昨年まではBチーム。表舞台に立つ機会はほとんどなかった。だが、腐らずにやり続け、自由参加制の朝練習も3年間サボらずにやり続けた。その成果が“最後の冬”に現れつつある。

 決勝の相手は近江。夏のインターハイ予選決勝で敗れたライバルとのリターンマッチだ。

「周りの評価でも近江が強いと言われているし、県リーグ1部でも近江のCチームとやらせてもらって力の差を感じた部分はある。でも、Aチームを倒す機会は選手権しかない。ここで近江を倒して、全国大会に行きたい」

 中学でも高校でも先輩の背中を見続けてきたが、今度は自分の番。最強の好敵手を倒し、憧れの場所に立つ権利を必ず掴み取る。

(取材・文 松尾祐希)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
松尾祐希
Text by 松尾祐希

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