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静岡学園の1ボランチ務める“心臓”は選手権でブレイクも。MF森崎澄晴は見る人を魅了するサッカーと結果も求める

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静岡学園高の攻守の要、MF森崎澄晴(3年=刈谷JY出身)

[11.11 選手権静岡県予選決勝 静岡学園高 2-1 藤枝東高 エコパ]

「見ている人を魅了するサッカーがしたい。それで結果がついてきて、自分も個人として選抜とかに選ばれたら良い」。技巧派軍団の1ボランチを務める“心臓”は、選手権全国大会で静岡学園高らしいサッカーの表現と結果を求める。

 MF森崎澄晴(3年=刈谷JY出身)は、序盤からセカンドボールの回収で藤枝東高との差を生み出していた。前からボールを奪いに行く中で“狩りどころ”に。高い位置でのボール奪取を実行し、味方の連続に結びつけていた。立ち上がり、攻守に強さを示した静岡学園は15分に先制。優位に立ったチームの中で森崎の貢献度は大きかった。

 後半も要所でインターセプトやセカンドボールの回収。身長は170cmほどで決して特別な身体能力を持つ訳では無い。だが、静岡学園で「予測して奪い切るところとか伸ばせた」というボランチは、自信を持つ運動量を含めて攻撃的なチームを守りでサポート。奪ったボールをロストせず巧みにDFを剥がしたり、正確に一つパスを繋ぐことも表現していた。

 ただし先制後、チーム全体が速い攻撃に。自身は「オープンな展開になった時は一回落ち着かせるとか、どこかでスイッチ入れる縦パスとか意識していました」。決勝という大舞台。事故が起きないように大事に攻めることも意識していたが、良いリズムを作れなかったことを反省する。

 静岡学園はボールを保持しながらゆっくりと攻めるスタイル。川口修監督はこの日の戦いについて、「ミスをなくしてボールを保持しながらゆったりやりたかった」。森崎も中央で受けてゆっくりと左右に振るなど、もっとボールを上手く動かさなければならないと自身に求めていた。やや勝つことに偏ってしまうところのあった決勝から改善。全国大会ではより魅せて、勝つ意気込みだ。

 東京V内定のGK中村圭佑主将(3年)、徳島内定の10番MF高田優(3年)、そして怪我で離脱中だが、川崎F内定のエースFW神田奏真(3年)とJクラブ内定選手が3選手いる中で、目立つ存在ではないかもしれない。だが、怪我がなければ、8月のSBSカップで静岡県選抜(静岡ユース)の司令塔役を担っていた可能性の高いボランチだ。

 中学時代、愛知県トレセンに選ばれていたMFは、「学園で自分に足りないものを伸ばせると思った。個のところは足りないなとずっと思っていた。学園へ行って、鍛えて、選手として一個上に行くために学園を選びました」という静岡学園で精度、守備面でも成長を遂げた。今年の春先はまだ絶対的な存在ではなかったものの、本人が自信のきっかけに挙げる5月の神村学園高戦など、経験を重ねながら欠かせない存在に。以前、川口監督が特に成長した選手として名を挙げていたほどだ。その森崎は選手権予選でのベストイレブンにも選出されている。

 全国大会で評価を高める可能性も十分。そのためには、全国の強豪相手でも静岡学園らしいサッカーを表現し、勝たなければならない。まずは求められることに応え、競争を勝ち抜くこと。憧れの選手としてブライトンのMFパスカル・グロスやチェルシーのMFエンソ・フェルナンデスの名を挙げる森崎は、スキルやサッカーIQの高さを全国舞台で実証し、ブレイクも果たす。

(取材・文 吉田太郎)

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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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