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[MOM4531]神戸弘陵FW馬場悠平(3年)_努力を続け、「厄介な選手に成長してきた」エースが大一番で1G1A!!

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1得点1アシストを記録した神戸弘陵高FW馬場悠平(3年=左)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.12 選手権兵庫県予選決勝 神戸弘陵高 3-1 神戸科技高 ノエビアスタジアム神戸]

 初戦となった2回戦、神戸高塚戦でのハットトリックで幕を開けた今大会。以降もゴールネットを揺らし続けたものの、準決勝の三田学園高戦では無得点。「決勝は決めたいと思っていた」。意気込み通り、全国大会出場がかかった大一番で1ゴール1アシストを記録したのが、神戸弘陵高のエースFW馬場悠平(3年)だ。

 この日は慣れない天然芝でのプレーだった。選手権予選に入ってからは、「選手権はテレビで見られるので目立とうと思って気負っていた」せいで、ボールロストが目立っていたこともあり、前半はまず前線できちんとボールを収めようと心がけたという。

「チームの流れを作って、最後に自分が仕留められたらと思っていた」。言葉通り、シンプルなプレーで味方の良さを引き出すのが前半のイメージだ。前半9分には左のスペースに流れて、自らのパスからMF佐波昂大(3年)の飛び出しを誘う。10分には自陣で味方が奪ったボールを収め、カウンターの起点として機能。前半のシュートこそ1本に終わったが、チームへの貢献は大きかった。

 馬場にとって最初の見せ場が訪れたのは1-0で迎えた後半16分。佐波がDFの裏に入れた浮き球を上手くコントロールして、そのままゴール前まで前進していく。PA内では並走したDFを上手くかわすと、そこからは落ち着いていた。「切り返した時に自分の左足シュートもあったのですが、中の方がフリーだと思ってパスを出した。佐波なら決めてくれるという信頼もありました」。そう振り返った通り、冷静に後方から走り込んだ佐波の得点を引き出した。

 続く19分には守備でも魅せる。PAの手前でボールを受けた相手DFに対し、プレスをかけにいくが、ここでの判断も冷静だった。「自分が突っ込んで奪いに行くと相手がかわしやすい。相手の前で一旦止まって判断を迷わせる」と上手く相手のミスを誘うと、奪ったボールを無人のゴールに流し込んだ。「自分らしい形で決められなかったので、自己採点は60点ぐらいです」と自身の出来に満足していないが、この日のヒーローであるのは間違いない。

 この一年での成長は著しい。「年中でサッカーを始めた頃からずっとFWをやっていて、足が速い方だったのでずっと裏抜けは意識してきました」。そう振り返る通り、50mを6秒代前半で走る俊足を生かした背後への抜け出しは見事で、いとも簡単にゴール前に入って行ける。

 特徴を買われて下級生の時から出場機会を掴んできたが、悩みもあった。新人戦の頃にはこんな言葉を残している。「FWっぽさが今は全くない。ビデオとか見返すと淡々とプレーしているだけなので、迫力のあるFWになって、こいつはやばいと思われるFWになっていきたい」。

 決定力を高め、裏抜けだけで終わらないストライカーに変貌を遂げることが、今年のミッション。苦手としてきたポストプレーや、シュートの幅を広げようと努力し続けてきた。夏のインターハイで青森山田高と対戦した経験もプラスに働いている。マッチアップしたDF小泉佳絃(3年)は191cmの大型CB。手足も長く、抜け出せたと思っても、後ろから足が伸びてきて止められてしまう。フィジカル負けする場面も多かった。そうした全国の猛者にも勝てるよう上半身を鍛えてきた。

 取り組みの成果はプレーに表れている。「(これまでは)相手の嫌がる動き、背後に抜ける動きばかりだったけど、足元で受けられるようになった。プレーの幅がだいぶ広がったし、両足でもシュートが打てるようになってきたので、相手にとって厄介な選手に成長してきてくれている」。そう目を褒めるのは、谷純一監督だ。

 馬場自身も成長を実感している。更なる大舞台での活躍にも自信十分だ。「全国でも自分が点を決めて勝ちたい。初めての選手権なのでワクワクしている。選手権がどういう物か全く知らないので緊張もあると思いますが、それすらも楽しみたい」。そう意気込む馬場なら、全国の舞台でもチームに勝利をもたらしてくれるだろう。

(取材・文 森田将義)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
森田将義
Text by 森田将義

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