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名古屋高MF田中響貴主将が堂々とした選手宣誓「久しぶりにみんなの声がスタジアムに戻ってきます」

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 堂々とした選手宣誓だった。「少し間違えてしまったところがあったので、80点」という自己採点がやや辛口と感じたほど、約3分間を詰まることなく言い切った。

 11月20日にオンラインで実施された組み合わせ抽選会で行われた抽選の結果、選手宣誓は愛知県代表・名古屋高のMF田中響貴主将(3年)が務めることに決まった。

 原稿が完成したのは今月18日。まずは田中が言いたいことを書き出し、それを監督に提出して練り込まれてきた。本番までの10日間は、暇があれば口ずさんで練習してきたようだ。

 一番伝えたかったことは「みんなの声がスタジアムに戻ってきます」という部分。コロナ禍では難しかった声援を受けることを大切さを、予選などを通じて実感したからこそ、伝えようと思ったという。

 一仕事を終えた田中だが、本番は明日、1回戦の相手は11月に行われたU-17ワールドカップで活躍したFW高岡伶颯(2年)を擁する日章学園高(宮崎)との対戦になる。「見ている人に気持ちが伝わればいいと思いました」。十分に伝わる選手宣誓を終えた田中擁する初出場校が、今度はサッカーで思いを体現する。

以下、田中の宣誓文

「宣誓。私たち代表48校は、厳しい地区大会を勝ち抜き、国立競技場に集えたことに感動しています。

 今大会は久しぶりにみんなの声がスタジアムに戻ってきます。苦しい時や辛い時に僕たちの背中を押してくれたのは、いつも仲間の声でした。歓喜の時、僕たちにより一層の喜びをもたらしてくれたのは、支えてくださる多くの方々の声でした。これから夢舞台が幕を開けます。スタジアムに湧き上がる声が、僕たちにきっとかけがえのない繋がりを感じさせてくれるはずです。

 振り返れば、僕たちの青春は順風満帆とは言えず、思うようにサッカーができない日々の連続でした。これはまさに苦難の時でした。しかしここにいる誰もが諦めることなく、今日この日にたどり着くことが出来ました。普段は僕たちに忍耐することを教えてくれました。その忍耐は僕たちをよりたくましいものに成長させ、目指すべき目標、希望を与えてくれました。

 一人では到底立つことも出来なかったこの夢舞台。仲間、指導者の方々、家族、この大会に携わるすべての方々に感謝します。そして最後に、『Sports unite us』。スポーツは仲間をひとつにします。スポーツはみんなを笑顔にします。スポーツはほかの誰かの勇気やきっかけになります。スポーツは世界を平和にします。僕たちのサッカーが日本の、そして世界を照らす希望の光となるように、心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くしてプレーすることを誓います」

●第102回全国高校サッカー選手権特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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