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大黒柱・MF橋本琉唯は怪我で交代出場。厳しさを持って柳ヶ浦に求め続けた主将は「来年は全国で勝てるチーム作りを」

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18年ぶり出場の柳ヶ浦高は惜敗。MF橋本琉唯主将(3年=FC Livent出身)は後輩にエールを送った。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.29 選手権1回戦 帝京大可児高 2-1 柳ヶ浦高 駒場]

 膝の怪我を抱える大黒柱・MF橋本琉唯主将(3年)がベンチスタート。だが、柳ヶ浦高(大分)は、「自分が毎回、厳しいことを言ってきたんで、やってくれるんじゃないかなとずっと期待した感じでピッチを見ていました」という主将の思いに応えるような戦いを見せた。

 インターハイ16強の帝京大可児高(岐阜)に大半の時間帯でボールを支配された。だが、CB木塚武(3年)とCB外園優心(2年)を中心にコンパクトさを保ちながら集中した守り。また、前線では橋本に代わってゲーム主将を務めたFW曽根虎大郎(3年)が気迫のボールキープによってチームが押し上げる時間を作っていた。

 その曽根と県予選8ゴールのFW八尋馳(2年)が1人、2人でも攻め切ってしまう力を発揮。前半27分にはセットプレーから右SB中川喜之輔(3年)がチームの選手権初ゴールを記録した。

「みんなの力でもぎ取った1点」(橋本)。だが、直後のチャンスで八尋のシュートがポストを叩くなど、次の1点を取るチャンスがありながら、決めることができなかった。後半、帝京大可児に見事な2つのゴールを決められて逆転負け。「決めるか決めないかの差ですね。結局これが勝ち負けを決める」。就任から5年で柳ヶ浦高(大分)を選手権へ導いた有門寿監督は残念がった。

 18年ぶり2度目の出場で初勝利を果たすことはできなかった。それでも、指揮官は「やっぱり、全国大会に出たことない子たちですし、学校としても18年ぶりってところで負けはしましたけど、ほんとに、前進だと思います」と胸を張る。

 主将の橋本は1-1の後半20分から交代出場。チームに欠けていた中盤でポイントを作ること、また前線へのつなぎ役になることを目指して奮闘した。抜群のスキルを持つ橋本がベストならば、2トップの負担を減らせたかもしれない。「最後までチームに迷惑をかけたと思います」と悔しがった橋本だが、それでも涙を堪えながら仲間たちを激励し、主将の責任を全うしていた。

 その橋本は「外園が来年キャプテンすると聞いているので、外園には特に期待していますし、厳しいことを今の1、2年生にも言い続けていたんで来年は全国で勝てるチーム作りをして欲しいです」とエールとエールを送った。まずは連続出場にチャレンジ。有門監督が「(チームにとっては18年間)あと1歩っていうところの壁が高かった。(3年生は)その壁を壊してくれた代でもある。だけど続かないと、結局、伝統にはならない」と語ったように、柳ヶ浦は来年、必ずこの舞台に戻ってきて、伝統を次の世代に繋ぐ。

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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