beacon

[選手権]大黒柱が決勝前日に骨折!矢板中央、早すぎる敗退:栃木

このエントリーをはてなブックマークに追加

[11.13 全国高校選手権栃木県大会決勝 矢板中央 1-2(延長)佐野日大 栃木グ]

 昨年度全国高校サッカー選手権4強で今夏の全国高校総体でも2勝を挙げていた矢板中央が栃木県大会で敗退する波乱が起こった。

 まさかのアクシデントを跳ね返すことができなかった。矢板中央は決勝を控えた12日の前日練習後、日本高校選抜候補で大黒柱のMF渡辺裕紀主将(3年)が右足第5中足骨を骨折していることが判明。痛み止めを施し、メンバーを提出する試合開始1時間40分前まで強行先発の可能性を模索していたが、痛みは引かず、チームにとって欠かせない10番が欠場を強いられてしまった。

 それでも渡辺主将が「自分が出ないほうがいいんじゃないかと思った」と讃えるほどのパフォーマンスを見せたMF田畑喜行(2年)らイレブンはFW森恒貴(3年)ら佐野日大攻撃陣に剥がされそうになりながらも、ゴール前は譲らずに相手の攻撃を懸命に跳ね返していく。攻撃面ではショートパスでのミスが出るなど、なかなかボールを前線まで運ぶことができなかったが、それでもエース中田充樹やFW堀越龍也(ともに3年)が個人技を生かしてわずかなチャンスを得点機に変えた。先制されたものの、後半28分にはFKのこぼれ球を拾ったMF島野一也(3年)が鮮やかな左足ループシュートを決めて同点に持ち込んだ。

 ただこの後、再三あったビッグチャンスを決勝点に結びつけることができなかった。延長戦でも中田のループパスから途中出場のMF渡辺光(3年)がゴールへ迫るもシュートを打つことができず。体力が落ち、延長戦でシュートを打つことのできなかった矢板中央は、セットプレーのこぼれ球をねじ込まれて、全国を目の前にしながらピッチに崩れ落ちることとなった。

 試合後数分が立ってもイレブンは立ち上がることができず。チームメートたちが抱き起こしにいくが、それでも選手たちの涙はとまらなかった。渡辺主将は「キャプテンとして日本一を目指してきた。自分が全国へ連れて行くばかりか、足を引っ張ってしまった」。昨年の全国大会で4強進出の立役者のひとりとなったGK三浦拓(3年)はキャプテンマークを託されていたが「(渡辺)裕紀に申し訳ない。全国で活躍したかった」と下を向いた。
 
 昨年の全国4強を越えるべく1年間取り組んできた。新チーム結成から常にけが人を抱えながらの戦いだったが、その中で全国総体に出場。そしてようやくベストメンバーで戦うことができるようになっていた。だがチームを襲った突然のアクシデント。高橋健二監督の言う「全国で戦えたチーム」は早すぎる敗退となった。

(文 吉田太郎)

【特設】高校選手権2010

TOP