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[MOM385]久御山FW鍋野光希(3年)_遊び心ある突貫小僧が2ゴール

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 中京大中京2-4久御山 ニッパ球]
 敵軍のスター選手、宮市亮にも負けない活躍を見せた。久御山(京都)の勝利に大きく貢献したのはFW鍋野光希(3年)だ。0-1の前半16分に左からのパスに素早く反応して同点弾を決めると、1-2の後半3分にはドリブルで仕掛けてPA右を侵入。エースのFW安川集治(3年)にスルーパスを通した。シュートのこぼれ球に再び鍋野が反応し、2-2の同点に導いた。
 松本悟監督が「あれで(チーム全体が)自信を取り戻せた」という一撃で追い上げムードを作り、その後の4-2逆転劇につなげた。ゴールだけでなく、50m走6秒3のスピードを生かして何度もDFラインの裏を狙ったほか、小刻みなドリブルとスルーパスを出した。元イタリア代表FWインザーギや元日本代表FW佐藤寿人がお手本そうだが、常にゴールを意識したプレーで、中京大中京のDF陣を混乱に陥れた。
 自らを「グレートヒューマン鍋野です。神に近い存在です(笑)。これ書いてください」と冗談ともナルシストともいえる発言で評する鍋野だが、この日ばかりは、それだけの活躍を見せたと言っていいだろう。「遊び心があるプレーが得意? そうですね」とも言ってのけた。165cmの小柄な体が少し大きく見えた。
 チーム内には期する思いがあった。12月30日の開会式で、久御山イレブンは“おねぇ芸人”の楽しんごの『ラブ注入』のパフォーマンスをしようとしたが、リハーサルの段階でストップがかかり断念した。しかし、開会式の途中、両手を広げてひらひらさせるような、ちょっとした“パフォーマンス”を繰り出したという。
 鍋野は「前の選手がやり出したので、みんなでやってしまった」。これが“行儀悪い”と判断され、大会関係者から指摘されたようだ。当然、松本悟監督に厳しく注意された。前夜はもちろん、試合当日のミーティングでも、この“事件”についてみんなで話し合い、監督から指導を受けた。
 「このままじゃ帰れないんだぞ!」「謙虚な気持ちでやれ!!」などと強い口調で怒られた。選手たちも猛省し、試合で結果を出して応援団や学校関係者にお詫びすることを考えていたが、鍋野がそれを率先して結果で示した。
 「目標は全国制覇です。個人的には、まあまあのプレーができたと思う。次は座間が相手だけど、自分たちのサッカーをして勝ちたい」と鍋野。スペインの名門バルセロナのパスサッカーを標榜する久御山だが、次も右FWに君臨する“突貫小僧”がチームの勝利に貢献する。
[写真]2ゴールを決めた鍋野
(写真協力 『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 近藤安弘)

【特設】高校選手権2010

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