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[MOM359]阪南大MF松下佳貴(4年)_やはり相手にとって“危険な”MF、神戸内定レフティーが自在の配球

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.10 全日本大学選手権2回戦 阪南大 2-1 鹿屋体育大 江戸陸]

 明らかに一段階上のレベルでのプレー。阪南大のアンカーの位置を担う全日本大学選抜MF松下佳貴(4年=松山工高、神戸内定)に対して、鹿屋体育大は自由を与えすぎていた。大学サッカー界屈指のコンダクターであり、対戦相手にとって“危険な”MFにとっては十分に余裕を持ってプレーできる状況。松下自身も「ちょっと引いたところで何でもできていたので、自分からしたら、(フリーの状況は)ありがたかった。僕自身でいうと、FWにつけるパスとか武器でやっているんで、余裕がある分できていたと思うし、チームとしても前向きに全員ができていたと思う」と及第点をつける内容のパフォーマンスで白星をもたらした。

 立ち上がりはチームとしてセカンドボールを拾うことができずに劣勢だったが、それを修正すると松下が好配球で決定機をつくり出す。21分には攻撃の組み立てから突如、PAのFW前田央樹(3年=福岡U-18)へピンポイントのラストパス。このシーンは得点に結びつかなかったものの、アイディアとそれを表現するテクニックを駆使していたMFは、その後も中央から前向きの選手の足下、スペースへ長短の正確なパスを散らし続けると41分の同点ゴールのシーンにも絡んだ。

 また、今季無冠に終わっているチームの中で、主将は勝利への強い思いをプレーで表現していた。「今年のチームになってから(タイトルを)取れるところまで行っているのに大事なところで取れていない。まとめきれていない4回生だったり、自分の責任を感じている。自分たちが引っ張るという気持ちをいつも以上に持ちながら、それを言葉だけじゃなくてプレーで表現したい」という松下は守備でも奮闘。「全員が攻撃にいくんでアンカーのポジションで相手の攻撃を一回止めるのは自分の役割」。厳しく行き過ぎてイエローカードをもらってしまうシーンもあったが、攻守でチームを牽引し続けた。

 すでに神戸の特別指定選手としてJ1デビューを果たしている期待のMF。来季戦うプロの世界で1年目から出場し続け、活躍するためには守備面の向上が不可欠だ。攻撃面についての評価は自身も実感しているが、守備については「大学サッカーで通用していても全然通用しない。自分は行っているつもりでも相手にとっては全然プレッシャー感じていなかったり」。だからこそ、身体的な強さの部分、アプローチで厳しく行く部分、全体的に上げて行かなければならないと感じている。意識高い取り組みを続けるMFはこの日、華麗なボールさばきだけでなく、泥臭くボールを奪いに行く部分でも相手にとって嫌な存在になっていた。準々決勝で対戦する大阪体育大は松下への警戒心を強めていたが、阪南大の大黒柱はそれを攻守両面で上回り「自分たちは日本一を掲げている」という目標へ導く。

(取材・文 吉田太郎)
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