[12.11 全日本大学選手権2回戦 阪南大 1-0 関西学院大 前橋総合]

　今季リーグ戦では2度とも敗れた関西王者との全国大会2回戦、阪南大の白星には守護神の活躍が欠かせなかった。試合後、GK村田要(3年=熊本国府高)は「自分にできるのはゲームに関わり続けるところ。後ろからの声かけはたやさず、よくできたと思う」と手応えをもって振り返った。

　1-0でリードして迎えた後半30分すぎ、最後の猛攻を仕掛けてきた関西学院大の前にどっしりと立ちはだかった。波状攻撃から放たれたMF岡島温希(3年=浜松開誠館高)のボレーは横っ飛びで阻むと、DF山内舟征(3年=近江高)のヘッドもラインギリギリでセーブ。ここで失点していれば試合の行方は分からなかったが、危機を救う好守で勝利をもたらした。

「自分はもう止めることしか役割がないので、今までやってきたことを出し切った結果だと思う」。そんなGKの武器は「セービング能力や飛び出し」。今季終盤からレギュラーを掴んだため、関西学院大との対戦は初めてだったが、「自分の実力がどれだけ通用するかわからなかったけど、勝つということ、目の前の敵を倒すということは変わらなかった」と普段どおりの働きで存在感を見せた。

　また試合中のコミュニケーションも密だった。それも「後ろからの声掛けをたやさず、自分にできるのはゲームに関わり続けるところ」という声かけの頻度だけでなく、内容面でも心配りを発揮。後半途中、村田は味方のFW池田修志(4年=神戸U-18)に向けて「さっきは言い過ぎた!」と大声で伝達していたが、そこでは次のような背景があったのだという。

「その前のセットプレーの時にちょっと言い合いになって、でも悪い雰囲気になって試合中に言うことを聞いてもらえなくなるようなら嫌なので、まずは自分から謝って次のプレーにつなげようと思った。GKはコミュニケーションがすごく大事なので、褒めるところは褒めて、叱るところは叱る。そこにはまだまだ課題はあるけど意識していきたい」

　正確なセービングと187cmの上背を持つGKだが、高校時代にはレギュラーにもなれなかったという苦労人。ようやく正守護神として迎えるこの大会で飛躍を果たすべく、「勝つために自分たちはやっているので、勝ったことで次につながる。でも自分たちが目指すのは優勝なのでまだまだ通過点。やるべきことをやって次につなげていきたい」と14日の準々決勝に向けて意気込みを語った。

(取材・文　竹内達也)

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