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関西王者・関学大が18日のインカレ3回戦に臨む…2回戦ではJ内定者4人が躍動、山田剛綺「目指しているのは日本一」

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関西学院大FW山田剛綺(4年/東京V内定)

 全日本大学選手権(インカレ)は17日、18日に3回戦を開催。関西王者の関西学院大(関西1)は18日に常葉大(東海2)と対戦する。11日の2回戦では静岡産業大(東海1)に接戦の末、2-1で勝利。先制点を挙げたFW山田剛綺(4年=京都橘高/東京V内定)は「僕たちが目指しているのは日本一」と意気込みを語った。

 関西学生1部リーグで連覇を達成したが、トーナメント戦への苦手意識があった。関西王者として臨んだ昨年度のインカレは初戦敗退。今夏の関西選手権でも準々決勝で敗れ、総理大臣杯への出場権を逃していた。それだけにインカレ初戦・静産大戦での勝利には手応えを語る。「天皇杯も今年は負けていて、周りからもあかんと言われていた。選手もそう思っていた。そういう背景が今回一発目で払しょくできた」(高橋宏次郎監督)。

 初戦・静産大戦では、Jクラブ内定者たちが躍動した。前半31分、敵陣内への浮き球パスをMF美藤倫(3年=東海大大阪仰星高/G大阪内定)が目の前に落とす。「(山田)剛綺くんがしっかり見えたので決めてくると」(美藤)。山田もボールが来ると確信していた。「倫ならこぼれてくるなという信頼関係があった」(山田)。ボールを収めた山田が右足シュートで先制ゴールを挙げた。

 しかし、その後は追加点が奪えない。小雨が降る中、終盤につれて静産大の攻撃を受けるようになる。すると、後半39分に痛恨の失点。残り時間が少ない中で1-1と試合を振り出しに戻された。

 だが、失点直前に投入されたFW木村勇大(4年=大阪桐蔭高/京都内定)は「おいしい展開」と発奮する。後半41分、MF倍井謙(3年=名古屋U-18/名古屋内定)が敵陣内での巧みなボール捌きから相手のハンドを誘発。PK奪取に成功した。倍井はボールを木村に託して力強くハグ。「信頼している4回生でありすばらしい選手。決めてくれと思って託しました」(倍井)。木村もその思いを受ける。「おいしい場面で自分に託してくれた。みんなのために決めないとだめだ」(木村)。冷静に“パネンカ”で決め切り、決勝ゴールとなった。

 木村は昨シーズンにいち早く京都サンガF.C.内定が決まった。今シーズンは京都での活動や全日本大学選抜、U-21日本代表への参加でハードスケジュールとなり、チームを空ける時間も増加。その間、仲間たちが奮闘した。「リーグ優勝に後期はまったく貢献できなかった。そこで優勝してくれたみんなが頼もしいし、有難い気持ちがあった」(木村)。チームを牽引した山田は、決勝ゴールの木村に感謝を示す。「勇大はサンガや日本代表に行って難しい中で、コンディションを上げて結果を残した。素直にうれしかった」。

 3年生にしてJクラブ内定を決めた美藤と倍井は安定感を見せた。美藤はボランチながらも攻撃面でも活躍。「持ち味は守備。だけどプロでやっていく上では攻撃も重要」。後半に入り、静産大のプレスが激しくなると、美藤は中盤の底まで下りてパスを受ける。素早く前に向き直り、パスまたはドリブルで局面を打開した。「相手が前に強く来るので、すっと抜けたら前に向けるかなと意識してやっていました」。

 個の突破力を持つ倍井は、左サイドから果敢にゴールに迫る。緩急鋭いボールタッチで相手を翻弄。試合中に何度か見せていた浮き球キックで相手のハンドを誘発してPK奪取。勝利に大きく貢献した。「前線に剛綺くん、勇大くんとゴリゴリしたタレントがいる。そこを生かすのも自分の役割。日ごろから意識しています」。今大会ではゴールも意識。「得点でチームを勝たせたいという思いは常にある。いいスタートを切れたので、慢心せずにまた来週からしっかりやっていきたい」と次戦の活躍を誓った。

 キャプテンのDF山本祐也(4年=近大附高)は「初戦は難しい中で、まず勝つことができてよかった」と安堵。山田も「僕たちが目指しているのは日本一」と前を向く。「1、2、3年とチームとしても個人としてもうまくいっていない。最後のインカレで、個人としてもチームとしても、いい結果で終われるように」(山田)。トーナメント戦への苦手意識はなくなった。勢いを手にした実力者たちが、満を持して大学の頂点を目指す。

(取材・文 石川祐介)
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