[12.18 全日本大学選手権1回戦 札幌大1-3 同志社大 鴻巣]

　大学サッカー日本一を懸けた平成23年度第60回全日本大学サッカー選手権(インカレ)が18日に開幕。1回戦8試合が行われた。埼玉県の鴻巣市陸上競技場で行われた第1試合では3年ぶり出場の札幌大(北海道)と9年ぶりに出場の同志社大(関西2)が対戦。同志社大がFW辻智人(4年=神戸U-18)の2ゴールなどにより3-1で勝ち、専修大と対戦する準々決勝(23日)へ進出した。

「後半のパフォーマンスが出来れば、自分達の目指すところへ近づくことができる」と同大の望月慎之監督。9年ぶりのインカレという硬さもあってか、同大は前半、前へ、前へという本来のスタイルを出すことができなかった。中盤での横パスでミスを犯すと、札大の右翼、後藤裕樹(4年=室蘭大谷高)のダイナミックな突破に押し込まれ、また前線を幅広く動き回るFW酒井遼太郎(2年=帯広北高)の存在に手を焼く場面があった。そして0-0の前半37分、PA左中間でボールを拾って縦に仕掛けた酒井のクロスをDFが手で止めてしまいPKを献上。これをMF福永貴弘(2年=札幌U-18)に左足で決められてしまう。

　辻が反転から放った左足シュートをストップされるなど、同大は札大GK吉田龍輔(4年=青森山田高)の壁を破ることができなかった。前半は0-1で終了。ただ「15分はこのままで行くけれど、15分変わらなかったら代えるゾ!」というゲキを受けて迎えた後半、関西を代表する強豪が北海道の雄を飲み込む。まずは3分、MF東矢尚仁(4年=国見高)の右CKをファーサイドのCB佐川雅也(4年=神戸U-18)が打点の高いヘッドで折り返すと10番・辻が右足でゴールへ押し込んで同点。ゲームメーカー役を担ったMF杉山和毅(4年=清水商高)は「1点取れれば勝てると思っていた」と語っていたが、早い段階で追いついた同大は攻撃のテンポが一気に上がった。本来サイドアタッカーながら「3日前に言われた」とダブルボランチの一角として先発したレフティー、杉山の前線に縦へ入れるグラウンダーパスとスペースへの展開、そして辻のポストプレーから分厚い攻撃を繰り返していく。

　加えて東矢の個人技や右SB三浦修(4年=青森山田高)の力強いオーバーラップで押し込んだ同大は22分、ゴール正面から杉山が右中間のMF村上慎(2年=帝京大可児高)へ繋ぐと、背番号57は右サイドから斜めにPAへ飛び込んできた三浦へのスルーパスを選択。これを三浦が中央へ折り返すと辻が再びゴールへと押し込んで逆転した。

　札大は攻撃の柱であるMF西村啓(3年=北海高)とFW金田拓也(4年=札幌一高)とが絡んで相手の逆を取るなどボールをPA付近まで運べていたが、同大は佐川とサガン鳥栖のJ1昇格に貢献したMF早坂良太を兄に持つDF早坂賢太主将(4年=中京大中京高)のCBコンビが立ちはだかり、交代出場のMF宮本龍(1年=山梨学院高)がバイタルエリアをケアするなど隙を見せない。逆にどんどん前へ仕掛けてくる杉山や三浦の飛び出しをアクセントに攻める同大は44分、カウンターから村上が約25mの鮮やかな右足ループを決めて勝負あり。9年ぶりのインカレ初戦を逆転勝ちで飾った。

　DF林佳祐(神戸)らプロ4選手を輩出した昨年など、これまでリーグ戦の大事な試合を落として全国をあと一歩のところで逃してきた同大。ただ今年は大混戦だった関西1部リーグのラスト4試合を3勝1分で2位へ食い込み、インカレの全国舞台へ復帰した。早坂主将は「挑戦者としては結果もついてきているけれど、まだ(自分たちが格上の立場として)受ける力はない。でも自分たちは負けられない状況で戦ってきた。(これからの戦いが)楽しみでもある」。4年生を中心にチームの雰囲気から変えて一丸となってやってきた。準々決勝の相手は春先の練習試合で9失点して敗れたという専大。各選手が「正念場」と口にした関東王者を突破して同大は目標の優勝へ大きく前進する。　

(取材・文　吉田太郎)

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