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[フットサルW杯2012]フットサル日本代表 W杯メンバー発表、ミゲル・ロドリゴ監督会見全文

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 日本サッカー協会(JFA)は19日、11月1日からタイで開催されるフットサルW杯に向けた日本代表メンバーの14名を発表した。これまでフットサルの国際AマッチをプレーしたことのないFP三浦知良(横浜FC)とFP森岡薫(名古屋オーシャンズ)が新たに選出され、FP滝田学(ペスカドーラ町田)、FP仁部屋和弘(バサジィ大分)が、選考から漏れている。

以下、ミゲル・ロドリゴ監督会見全文
「監督という仕事をしている上で、一番複雑な心境になる瞬間でした。ここまで素晴らしい努力をしてくれた選手たちの中から、メンバーを選ばなければなりません。このリストに載っていない2人が外れることになりました。ただ、この2人に関しては、国内合宿の最後まで帯同してもらうことになっています」

―最終メンバー14名の選考理由は?
「各ポジションに拮抗した力を持った選手たちが集まっている状況の中で、最適なバランスを考えました。また、現在のコンディション、さらにAFCフットサル選手権を含めたここまでの流れで、どのような力を見せてくれたのか。そして、最終的には自分の感覚、感性を信じて、自分のイメージに合う選手を選びました」

―カズ選手に期待することは?
「これまでも話をしてきましたが、今の我々に欠けているシュート、決定力に期待している。まだ真価や本領を十分に発揮できていませんが、少しずつ良くなっています。W杯までに確実にもうひと伸びしてくれるのではないかと思っています。また、木暮(賢一郎)や小宮山(友祐)といったキャプテンたちに続くリーダーシップを発揮してくれること。こういう国際舞台で精神的な柱、モチベーションを与えてくれる存在は大きい。木暮や小宮山と力を合わせてチームを引っ張ってくれると考えています。いずれにしろ、技術的には攻撃面で大きな期待をしています」

―森岡薫選手に期待することは?
「従来の日本人選手にはない『力強さ』という個性を持った選手です。リーグでも得点王になっており、得点力がある。彼のような選手が、強力なプレスを掛けてくるブラジルやポルトガルのような相手に苦しんでいる時間帯で、トップの位置でしっかりと体を張ってボールを収めてくれることは、チームにとって大きな力になります。先日のサッカーの試合でも、日本は素晴らしいプレーをしていてゴール前にボールを運べていましたが、最終的にボールをゴールに入れることはできませんでした。フットサルでも同じで、そういった問題を解決してくれる糸口になる選手だと考えています」

―フィクソの枚数が足りない状況の中で滝田学選手を外した理由について
「小宮山はもちろん、北原(亘)、村上(哲哉)という選手たちはフィクソでプレーできます。AFCフットサル選手権でも、フィクソが1枚足りないという状況の中で、セットの構成を適応させていきました。最初は『フィクソ、アラ-フィクソ、攻撃的なアラ、ピヴォ』という形でしたが、『アラ-フィクソ、攻撃的なアラ2枚、ピヴォ』という形に変更させました。AFCフットサル選手権では、その変更が功を奏しています。その組み合わせにシフトさせたので、それに合わせた人選になっているのです」

―カズ選手の起用法については?
「カズはアラで起用したいと考えています。ピヴォは、星翔太と森岡が中核になる。どちらかと言えば、そこにパスを出してシュートまで持っていくとか、攻撃の起点としての機能を果たしてほしい。ピヴォに入れば、ポルトガル戦ではマークするフィクソとフィジカル的に非常にタフな競り合いをすることが求められます。ピヴォにはすでにスペシャリストがいるので、彼らに良いパスを出して攻撃を組み立ててシュートも放つ。そういった役割を期待したい。ただ、フットサルはローテーションが多く、ポジションが目まぐるしく変わる競技です。今話したカズの位置についても、最初のシステム上の配置であり、紙の上で示すならば、という意味合いが強い。サッカーと違って、すべての選手がすべての役割を果たさなければなりません。シュチュエーションによっては最前線にも最後尾に入ることもあるのです」

―W杯初戦まで、カズ選手の適応は間に合うのか?
「この2週間で最善を尽くしてくれるでしょう。インテリジェンス、これまでの経験をミックスさせて、役割を十分に果たしてくれると確信しているからこそ、このリストに残っています。実際、木暮、高橋(健介)、星、稲葉(洸太郎)といった選手たちも、ケガから復帰してまだトップフォームにはありません。でも、本大会までの2週間で最高のコンディションに持っていけると思ったので選びました。それは、カズも同じ。繰り返しになりますが、このシチュエーションは特別なものです。世界的な舞台で特別なシチュエーションにチャレンジできる、そういう特別な人だからこそ、チャンスが与えられました。そのことを加味した選択になっています」

―会見場に飾られた日本国旗に、選手16名のメッセージが書かれていたが?
「『心の契約』ということで、みんなに書いてもらったし、自分も書きました。みんなが約束したことを、日々のトレーニングから忘れないようにするために飾っています。契約で書いたことは果たさなければいけません」

―親善試合のブラジル戦では、W杯初戦で出場停止の北原選手を起用するのか?
「試合の行方にもよりますが、少しは出そうと思っています。ただ、基本的にはW杯を想定するので、あまり長くは出ないでしょう。ただ、流れによっては使うと思います」

―ブラジルなど強豪を相手に攻撃的なアラ2枚で守りきれるのか?
「これは進化させた形であり、パラドックス(矛盾)が起きている。攻撃的な布陣にした時ほど、失点数が少なくなります。その理由は2つ。まず、ボールをより長くポゼッションすることができること。また、攻撃的な選手たちは『守備をしなければならない』という意識が強くなります。それが功を奏したのが、AFCフットサル選手権でした。ブラジルやポルトガルを相手にした時も、だからこそ自分たちは守るのではなく、攻撃しないといけません。攻撃しないとやられてしまうからです」

―ケガから復帰したばかりの木暮や稲葉を外すことは考えていなかったのか
「洸太郎に関しては、(直近のFリーグ)2試合とも20分ほど出場しています。また、木暮も最後の試合では普通に試合に出ていました。逆にW杯にはフレッシュな状態で臨めるのではないかと考えました」

(取材・文 河合拓)

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