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好守連発のGK川原「グループステージ突破も、自分次第」

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[10.24 フットサル国際親善試合 日本代表 3-3 ブラジル代表 代々木第一体育館]

 事件は、起きかけた。国際親善試合の前日練習を終え、フットサル・ブラジル代表のFPネトは「ブラジルが負けたら事件」と語っていた。だが、24日の国際親善試合で、日本代表は過去12戦全敗だったブラジル代表と、初めて引き分けた。

 立役者となったのは、GK川原永光(名古屋オーシャンズ)である。前半19本、後半27本、計46本ものシュートの雨あられを、ことごとく弾き出した。ブラジル代表のマルコス監督も「枠の中に行ったシュートが24本。これを止めたGKが良かった」と、日本の守護神を称えている。

 過去10年以上にわたり、日本のゴールを守ってきた川原は、ブラジルと対戦するたびに、大量失点を食らってきた。それでも、この日の引き分けについては「正直、嬉しいことは嬉しいですけど、まだ壮行試合であって、本戦ではない」と冷静に振り返り、「むしろ勝たなければいけなかった。ミスからの失点が続いたので、そこを修正しないとW杯グループステージ突破は難しいと思う」と、気を引き締めた。

 ミゲル・ジャパンは、AFCフットサル選手権を制し、初めてアジア王者としてW杯に臨む。アジア王者になったチームに、新たにFP三浦知良が加わった。だが、カズの招集には賛否両論があることを知る川原は、チームが良い影響を受けていることを示したかったと語る。

「ミゲル監督が来て成長したし、カズさんが(代表に)来て、精神的にも強かった。でも、それは結果を出さないと示すことができなかったから、今日の試合は特に一丸になった。久しぶりの試合だったけど、こういう試合は面白い。忙しくなるけど、自分がスターになれるから」と言い、TVでインタビューを受けているカズを見た後に、「スターはあっちにいらっしゃるので、僕は二の次くらいでちょうどいいです」と、おどけてみせた。

 この引き分けを受けて、本大会のブラジル代表は目の色を変えてくるだろう。だが、普段の練習からポルトガル代表のFPリカルジーニョや、日本代表のFP森岡薫らのシュートを受け続けてきた守護神は、本大会での活躍にも自信を見せた。「ブラジルが本気になってくることは覚悟しているし、それに立ち向かえるように、この4年間やってきました。(Fリーグで唯一のプロクラブである)名古屋に移籍したのも、そのためだったので、楽しみです」。

 4年前のW杯、ブラジルとの開幕戦で、前半を1-3で折り返しながら、後半に9点を叩き込まれた苦い記憶も残っている。「自分が乱れて、失点が重なっていくとチーム状態が悪くなる。グループステージ突破も自分が頑張れば絶対にできると思っている。そう心がけて4年間やってきたから。結果を出したいと思います」と、頼れる背番号1は、力強く宣言した。

(取材・文 河合拓)

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