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[フットサルW杯2012]信頼が生んだFP稲葉の決勝ゴール

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[11.7 フットサルW杯2012 日本代表 4-2 リビア代表 フアマーク]

 フットサル日本代表は7日、リビア代表に4-2で勝利し、決勝トーナメント進出を決めた。過去3大会で一度も突破できなかった大きな壁を、ついに打ち砕いた。このリビア戦の決勝ゴールとなった3点目を決めたのが、FP稲葉洸太郎(バルドラール)だった。交代が自由なフットサルにおいて、次々とFPの選手たちがピッチに投入されていく中でも、稲葉にはなかなか出番が回ってこなかった。それでも、焦りはなかった。「アジア選手権でも、前半に1回も出ないこともあって、後半のスタートで出たりすることもあったからね」と言う。

 出場する際、稲葉の役割は大きく分けて2つあるという。積極的に持ち味のドリブルで仕掛けること、そして、流れが悪いときはチームを落ち着かせるパスをさばくこと、だ。ピッチ外でどちらが求められるかを判断しているという稲葉は、この日、前者の役割を全うしようとした。最初のプレーでドリブルを仕掛けたが、相手にボールを奪われ「あれは、ヤバかった。オレも焦った」という大ピンチを招く場面こそあったが、「思い切り行ってやろうと思って。気持ちを見せようと思った」という意識は、変わらなかった。

 その積極的な姿勢がゴールを生んだ。前半18分にはこぼれ球に鋭く反応し、先制点を挙げた。後半5分には積極的なDFでボールを奪うと、フリーのFP星翔太(バルドラール浦安)にパスを預け、勝ち越し点をアシストした。その46秒後には、プレッシングで相手のミスを誘発すると、ボールを回収したFP小宮山友祐(バルドラール浦安)のシュート性のクロスに合わせて、追加点を挙げて見せた。

「2点目、3点目は本当にDFから。自分たちがもともと練習してきた形であったり、リビアはこうしてくるからこう守ろうというのが、うまくできた形でボールが取れて翔太が決めてくれて、すごく良かったと思います」

 結果的に決勝点となった得点は、長年チームメイトとして戦ってきた、小宮山との連係が生んだものだと胸を張る。「3点目も僕がバッと行って、友くん(小宮山)が拾って、ドリブルして…。ああなったら、友くんとオレの阿吽の呼吸というか、ファイル(フォックス)時代から9年くらい一緒にやっているから。あそこはオレにめがけて蹴ってくれるという信頼感があったので。飛び込んだだけ。あれは友くんのパスがすべて。来ることを信じて行けた」。

 この場面を振り返り、小宮山もまた『信頼』という言葉を口にしている。「(ボールを)取ったときに(稲葉)洸太郎が見えたので。セカンドポストにシュートするか、パスするか迷いましたが、洸太郎が見えたので、信頼してパスを選択しました」。日本代表だけでなく、かつて所属したファイルフォックス、そして現所属のバルドラール浦安といったクラブチームで培われた信頼関係が、日本の決勝点を生んだ。

「(予選突破という)第一目標はクリアーできました。自信にもなるし、嬉しい。次は行けるところまで、突き進みたい」と、稲葉は言う。信頼し合える仲間たちとともに、新たな歴史の1ページを書き記していく。
(取材・文 河合拓)

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