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日本代表に個性を求めるMF香川「W杯まで『もう1年』」

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 日本代表のMF香川真司(マンチェスター・U)が、この4年間で歩んできた道は、まさにシンデレラストーリーといえるだろう。4年前の09年、香川はセレッソ大阪の一員として、J2を戦っていた。それがドイツのドルトムントへ移籍し、ブンデスリーガで2連覇を達成。今ではプレミア・リーグの超名門マンチェスター・ユナイテッドでプレーしている。日本代表でも背番号10を付ける香川だが、ブラジルW杯出場決定から一夜明けて、もう1年しかない、と危機感を口にした。

 まだ1年あるという感覚か、もう1年しかないという感覚か。4年間でクラブでも、代表でも立場が大きく変わった香川に聞くと「もう1年ですね」と即答した。「ポジティブに捉えれば『まだ1年ある』と思いますが、2年前、3年前に4年後かと思っていたのが、来年ですし。そういう意味ではすぐだなと思っています」。

 DF長友佑都やMF本田圭佑が、世界一を目標に掲げているように、香川も世界一を夢ではなく、目標と認識している。世界最高峰のクラブであるマンチェスター・ユナイテッドでプレーする香川は、だからこそ埋めなければいけない差が大きいことも痛感する。マンチェスター・ユナイテッドのチームメイトの名前を挙げながら、香川は日本代表の選手たちが、もっともっと個性を出していくべきだと主張した。

「マンチェスターでも、『自分が』『自分が』という中で、みんな結果を残している。そういうところはすごく勉強になりますし、誰も周りに合わせるということはしないし、個性の強い選手ばかり。『自分にボールを寄こせ』とか。すべてがそういう選手の中でやっているから、そういう意識は感じる。日本代表は、最後に誰が勝負するのかっていうところの強い気持ちが、まだまだ足りないのかなと思う。僕もそうですし。もっともっと強い気持ちを持って、自分がやるんだという気持ちで、取り組んでいきたいと思います」

 自己を強く主張していく中でも、チームとしてまとまる瞬間を、プレミア王者の中でも感じ取っている。「自分を主張する中でも、互いに尊重している。ルーニーとか、ファン・ペルシーもそうですし。自分の良さを出しながら、仲間を生かす術も知っている。ただ、みんなが自分で違いを出せる分、余裕が生まれるのかなと思います」。

 3次予選、最終予選で計4ゴールを挙げた香川だが、まだまだ代表における自分のパフォーマンスに満足はしていない。今後、代表でも結果を出すためにも、クラブレベルでの飛躍を誓った。「マンチェスター・ユナイテッドで、自分が主力としてチームを引っ張るくらいの活躍ができれば、自然と責任感だったり、強さが出てくると思います」。世界最高峰の環境に身を置き、刺激を受け続けている香川。その成長は、日本代表の進化にも直結するはずだ。
(取材・文 河合拓)
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