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U-17W杯の無念をエースとしてU-20W杯で!違い示した南野「今回に懸ける思いは強い」

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[6.10 練習試合 U-18日本代表候補1-1順天堂大 秋津]

 エース候補がいきなり結果を残した。FW南野拓実(C大阪)は今季J1で全13試合に出場し、ナビスコ杯では6試合2ゴール。U-18代表世代で最も多くの経験を積んでいるストライカーだ。U-18代表候補では3月下旬の始動合宿(大阪)初日のミーティングのみの参加で、今回の千葉合宿が初めての本格的な参戦。そしてこの日の順天堂大戦が初の実戦だったが、チームを明らかに一段階上のレベルへ引き上げ、“初ゴール”も叩きだした。

 2トップの一角として先発した南野は大学生の厳しい素早いプレッシャーの中でも難なくボールを収めると、正確にボールを動かしてチームの攻撃を活性化させる。ボールを持って前を向けばドリブル、ワンツーで局面を打開。そして11分だ。中盤で前を向いた南野はMF関根貴大(浦和ユース)とのパス交換から右サイドのオープンスペースを駆け上がったSB広瀬陸斗(浦和ユース)へ展開。そのまま全速力でPAへ走りこみ、広瀬の右クロスをダイビングヘッドでゴールヘ沈めた。

「理想の感じで行けたんですけど、最後のクロスの質がめちゃ良かった。触るだけだった。攻守が切り替わって、流れの中で決めたゴールだったので、いいゴールだったと思います」と笑顔。組み立てから仕上げの役割も果たしたこの一撃の後も、スペースを突くスルーパスや局面での崩しなど存在感を発揮し続けた。34分に左サイドからドリブルで仕掛けて放った一撃はGKの横を抜けながらDFにクリアされて得点とはならなかったが、実力の高さ、彼の必要性を十分に示した45分間だった。
 
「早生まれの選手が何人かいてる中でプロとして臨んでいるので、引っ張っていって結果も出さなければいけないと思っていますし、まだ全然始まったばかりなので、もっと突き詰めていかないといけないところがある。チームとしてやることをもっと理解していきたいと思います。J1は中断期間に入っていて、チームとしても、自分としてもオフ。(U-18代表の選手は)結構みんな身体がキレているので、そこについていくのが昨日の練習では結構大変だったんですけど。でもその中で自分のコンディションの100パーセントを持ってきたつもりですし、きょうの試合ではそこそこはできたと思います。でもまだ細かいところでできていないところがありましたし、最後の時間帯とかは運動量も落ちたし、ミスも目立っていたと思う。ああいう苦しい時にこそ、もう1点取りにいけるようになっていかないといけないと思います」と語り、自覚の高さを感じさせた。

 南野は11年のU-17W杯8強メンバー。同大会のアジア最終予選(AFC U-16選手権2010)では4得点を挙げて大会得点王を獲得した。94年生まれ以降の同世代は“南野世代”とも表現されるほど大きな期待を背負っていたが、本大会ではチームが快進撃を進める中で自身は6-0で勝利したニュージーランド戦の1得点のみで満足のいくプレーをすることができなかった。「悔しい大会でしたし、世界との差を実感して全然足りていないなと思った大会でもあります。あの大会があったからこそ、今回に懸ける思いは強い」。この悔しさをバネに成長してきた南野。C大阪でも日に日に存在感を増してきているだけに、アジア予選に参加できるかどうかはまだ分からない。それでも招集されれば、「この世代は世界に行けていないというのもある。行くだけじゃなくて…」と誓う南野は、3大会連続で予選敗退しているU-20W杯へ日本を導き、世界でU-17W杯の借りを返す。 

(取材・文 吉田太郎)

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