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「それを求めてカタールに行った」中島翔哉が証明した“電撃移籍”の意味

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守備の成長著しい日本代表MF中島翔哉(アルドゥハイル)

[3.22 キリンチャレンジ杯 日本0-1コロンビア 日産ス]

 電撃移籍の意味を自らのパフォーマンスで証明してみせた。日本代表MF中島翔哉(アルドゥハイル)は攻守に好プレーを連発していたキリンチャレンジカップ・コロンビア戦の試合後、新天地での成長を前向きに語った。

 アジアカップ参加を負傷辞退した中島は2月上旬、1年半を過ごしたポルトガル・ポルティモネンセからカタール・アルドゥハイルに移籍。これからステップアップを遂げようとする若手選手が欧州トップリーグから中東に渡るのは異例のことで、世間からは疑念の声も向けられた。

 しかしそんな喧騒とは裏腹に、24歳は確かな成長を遂げていた。代表復帰初戦となったキリンチャレンジ杯・コロンビア戦、中島は昨年の親善試合同様に左サイドハーフで先発すると、対面のディフェンスを切り裂くプレーを連発。前半立ち上がりからほとんどのチャンスを自ら演出していた。

 もっとも、攻撃面の好パフォーマンスはこれまでも見せていたもの。この日、明らかに変わっていたのは守備での貢献度だ。優れたポジショニングで相手の縦パスをインターセプトし、ショートカウンターの起点として躍動する姿は、これまでの代表生活であまり見られないものだった。

 試合後、囲み取材で守備スキルの向上を問うと、中島はほおを緩めながら次のように答えた。

「カタールでは監督からずっと言われるので、あんまり言ったら怒られるかもしれないけど、それがすごく成長につながっている。これまでの代表戦の時よりは前のほうでボールを奪えたと思うし、そういうのを求めてカタールに行ったというのもある」。

 中島がアルドゥハイルで師事するのは、ポルトガル出身のルイ・ファリア監督。20年近くにわたってジョゼ・モウリーニョ監督とともに仕事を続け、数々のタイトルを獲得してきた名参謀だ。

 守備の献身性が増したというだけなら単なる意識の変化で説明できるが、この日の中島は巧みなポジショニングで相手のパスコースを消す場面が目立っていた。その成長の裏には、新天地での学びが生きている。

 とはいえ、まだ移籍して1か月あまり。「もっと取れるチャンスはあったと思うし、攻撃に出られるチャンスはあったはず。成長はできていると思うけど、もっとできたと思う」。自身のキャリアを切り開くため、そして日本代表をもう一段階上のレベルに引き上げるため、中島の挑戦は始まったばかりだ。

(取材・文 竹内達也)

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