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LINE通話で仲間の勝利見届け、代表デビューに臨んだMF田中駿汰「ポリバレントな特長」発揮

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日本代表MF田中駿汰(大阪体育大)

[12.14 E-1選手権 日本5-0香港 釜山九徳]

 3バックの中央で先発し、試合途中からはボランチにもトライ。MF田中駿汰(大阪体育大)の日本代表デビュー戦は濃密な90分間だった。

 海外組が招集できないE-1選手権において、センターバックとボランチは最も手薄なポジション。「監督もポリバレントな選手という特長をわかってくれていると思うので、試合でできるところを見せていかないといけないと思っていた」。そこで白羽の矢が立ったのが唯一の現役大学生である田中だった。

 リベロとしては落ち着いた球出しでチームのビルドアップを底支えし、相手1トップのFWサンドロに当ててくるボールをスマートな対人戦で処理。ボランチに入ってからは惜しい縦パスやヘディングシュートも見せた。そうした一戦を振り返り、田中は「自分たちのレベルよりは下だったけど、それなりには見せることができたと思う」と前向きに語った。

 ボランチに入ってからは停滞感が続いたようにも思われたが、組み立ての狙いを共有していた末の選択だったようだ。「相手が引いていたのでそんなにバンバン前に通しても真ん中を固めていたので、揺さぶって揺さぶってと話していた。回させられていたのではなく回していたので僕たちのペースだったと思う」。

 実際、ダブルボランチを組んでいたMF大島僚太への横パスが続いた後半37分、突如としてFW田川亨介への意表を突いた縦パスを通して絶好機を導いた。「相手が気を抜いていた部分があったので、スキをうまく突けたと思う」。そうした手応えを胸に「ああいうのをもっと増やしていきたい」と今後へ希望も語った。

 田中が所属する大阪体育大は現在、4年間の集大成と言える全日本大学選手権(インカレ)の真っ最中で、奇しくも初戦がこの日の日中だった。通信アプリ『LINE』の通話機能を通じて戦況を見つめていたという田中は、2-1での勝利に「ギリギリだったけど良かった」とホッとした表情を見せた。

 田中がインカレに出場できるのはE-1終了後、帰国当日の19日に控える準決勝からだ。「最後なので疲労うんぬんよりも出たいと思っている」。そのためには16日に行われる次戦の準々決勝で関東の強豪・中央大を倒す必要がある。「次が山場なので」という大一番で仲間の吉報を待ち、自身も同じく山場のE-1最終節・韓国戦(18日)へアピールしていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
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