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W杯明け12戦7ゴールの上田綺世「少しずつ信頼に変わって、パスも集まるようになって…」

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FW上田綺世(セルクル・ブルージュ)

 ベルギーリーグで飛躍の時を迎えているストライカーが、上々のコンディションで日本代表に合流した。FW上田綺世(セルクル・ブルージュ)は2023年に入り、12試合7ゴールと量産中。シーズンを通じた得点ランキングでも首位と2点差の4位につける14ゴールを記録しており、待ちに待ったA代表初ゴールにも期待がかかる。

 上田はベルギー移籍1年目の今季、30試合の出場で14ゴールを記録。Jリーグ時代と同様の得点力を発揮している。開幕当初は1トップや2トップの一角で起用されていたが、今年に入ってからは3-4-2-1の左シャドーで起用される試合が増加。それでも得点ペースは衰えるどころか勢いを増し、PKを除いた得点数はリーグトップを記録している。

 21日の練習後、囲み取材に応じた上田は現在の好調について「常に継続すること」と要因を分析。「求められていることをやりつつ、自分の武器を見せることは常に継続してきたこと。シーズン通して継続してきたことで、自分の武器や特徴をチームに理解してもらうことができたし、少しずつ信頼に変わって、パスも集まるようになってきて、それが最近の試合で結果が出ているところ」と胸を張った。

 直近のゲンク戦では1トップ起用で得点も挙げており、日本代表でも1トップを担う見込み。別のポジションを務めた経験が前向きに働いている部分もあるようで、新たに身につけた強みも日本代表の舞台で発揮していく構えだ。

「自分は1トップだという自覚があるし、そこにまた新しい引き出しを持って1トップができると思う。いまの自分のチームのポジションでもいろいろ吸収できることがあったり、自分なりに新しい点の取り方を模索できると思っているので前向きに取り組んでいる」

 日本代表でもやるべきことは、クラブでの活動と同様に「継続」と上田。「ここに来たからいきなり良いパフォーマンスを出せるということもないので、自分が出せるものを全力で出して、それが結果に結びつくか結びつかないか。結びつけられるように継続するしかないし、トライしていきたい」と意気込みを語った。

 もっとも、ここまではA代表12試合でゴールはゼロ。カタールW杯でもグループリーグ第2節コスタリカ戦(●0-1)の前半45分間に出場したのみで、ポテンシャルを発揮することはできなかった。

 それでもW杯を経験したことで新たな思いも芽生えていたようだ。「僕は特に活躍できなかったけど、W杯というのがどれだけ特別で、価値あるものかは大会を通して感じられた。そこで自分も結果を残したいし、残せることが自分のキャリアにおいても上につながると思う。W杯に対するモチベーション、代表に対する新しい価値を見つけられた」。新体制で心機一転の活躍を期する。

 今回の代表チームでは日本代表でエースを務めたこともある前田遼一コーチが新たに就任。同じポジションの先人から得るものもありそうだ。

 現段階ではアドバイスなどは受けていないそうだが、上田自身も「生粋のゴールゲッターだと思うし、より少ないタッチでゴールを重ねるイメージがある。僕がずっとワンタッチゴールにこだわっているように、より簡潔にゴールを取ることが僕は良いと思っているタイプのFWなので、見習う部分は多い。FW論じゃないけど同じポジションだからこそもらえる指示、話せることもあると思うので、そういうところで刺激を受けられるんじゃないかと思う」と期待を語った。

 強豪2か国とのキリンチャレンジカップは所属クラブで継続してきたこと、新体制でトライすべきことを試せる貴重な機会。上田は「試合をすること自体が自分たちの力を試すことになるし、新チーム1回目の活動で南米の強豪国とできるのは日本としても現在地を確かめる部分があると思うので、自分のパフォーマンスもそうだし、チームとしてやれることもいろいろ挑戦したい」と意気込みを語った。

(取材・文 竹内達也)

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