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同点弾を陰で支えたFW上田綺世「あれは自分の中で徹底している」

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日本代表FW上田綺世(セルクル・ブルージュ)

[3.24 キリンチャレンジ杯 日本 1-1 ウルグアイ 国立]

 カタールW杯と同様、途中出場の選手が勢いをもたらした。日本代表FW上田綺世(セルクル・ブルージュ)は後半16分、1トップのポジションでFW浅野拓磨(ボーフム)に代わって途中出場。念願のA代表初ゴールには届かなかったが、力強いポストプレーと持ち味の動き出しでチャンスを演出していた。

 まずは後半20分、同時に投入されたMF伊東純也と素晴らしい連係を見せた。右サイドを駆け上がった伊東に合わせてペナルティエリア右に寄っていくと、DFセバスティアン・コアテス(スポルティング)を背負いながらクサビのパスをキープ。ワンツー気味に伊東にラストパスを返し、あわやPKというビッグチャンスに関わった。

 中盤に技術の高い選手が並ぶ中でイメージしていたのは「1トップだとなかなかボールに関わる機会が少なく、技術のあるチームメートとやっていたらそういうことは多いけど、逆にゴール前で触れればチャンスが増える」ということ。「僕から動き出してボールを引き出しているので僕のほうが有利だった」との駆け引きで相手DFを制した。

 後半30分、FW西村拓真の同点ゴールの場面では、伊東のクロスにニアサイドに流れることで、相手DFを引きつけていた。「センターフォワードをしているときにニアやスペースに走り込むというのは、全部が全部じゃないけど狙っているところだし、ファーストポストにセンターフォワードが走り込まないとあそこが空かない。あれは自分の中で徹底しているし、あそこに入っていくのは好きなので、そこが噛み合った」。値千金のゴールを陰で支えた。

 一方、試合を通じてパスを呼び込む動き出しを続けていたが、自身がシュートに持ち込めるようなシーンはなかった。もっとも、一瞬の動き出しで勝負するストライカーという個性で勝負している限り、周囲との連係の難しさは常につきまとうテーマでもある。実際、今季から挑んだベルギーリーグでも徐々に乗り越えてきた課題だ。

 今季は30試合で14ゴールの数字を積み重ねてきたが、2023年に入ってからは12試合7ゴールとペースアップ。上田は「自分がやっていたことを何を変えたわけではないけど、常にやり続けていたことが重なって重なって、いまようやく信頼や結果につながっている実感はある」と手応えを得ている。

 だからこそ、代表でも自身の動き出しをとにかく継続していく構えだ。「DFが顔を上げたタイミングでよりわかりやすく綺麗に動き出すのが僕の武器であり、大事なこと。今後も継続していきたい。それが積み重なってくると、少しずつボールが出るようになったり、他の選手が入っていきやすくなるし、自分のプレーへの理解度が上がる」。次世代を担う働きが期待されるストライカーは焦らず仕事を続ける。

(取材・文 竹内達也)

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