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悔しさの中で「得られたことがたくさんある」、U-20日本代表GK木村凌也はアジアでの経験を糧にW杯の舞台へ

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GK木村凌也(日本大)

 U-20日本代表の守護神が、笑顔の裏に決意をのぞかせる。GK木村凌也(日本大)はU-20ワールドカップ開幕を目前に「日本が世界一になれるように、自分が導けたら」と力を込めた。

 3月のU20アジアカップでは正守護神としてゴールを守った。187cmの高身長から鋭いセービングでピンチを防ぐと、後方からは攻撃の組み立てにも加わる。グループリーグ3連勝に貢献し、準々決勝は完封勝利でU-20W杯出場権を手にした。だが、準決勝の戦いはベンチで敗戦を見届ける。優勝できなかった悔しさをにじませながら、「セットプレーや立ち上がりの部分で課題が出た」と出場した試合の課題を挙げる。悔しさのベクトルを自分に向けた。

 一瞬の判断が鍵を握るGKというポジションゆえか、その決断力で道を切り拓いてきた。横浜F・マリノスユースから出場機会を求めて大学進学を選択。進学先に選んだ日本大では入学初年度からレギュラーを掴み、チームの18年ぶり1部昇格に貢献する。個人賞の新人賞も手にした。

 これまで大きな怪我や試合に出られない時期もなく、順調なサッカーキャリアを歩んできたという。挫折は「しないのが一番だと思いますけど、したことによって得られることもある」。順調な道のりが途絶える不安も抱きながらも「いままで通り順調に行けたら一番いい。順調に行けるように、自分からやっていきたい」と攻め気の姿勢を崩さない。

 そんな木村だからこそ、日の丸を背負う戦いは成長の糧となる。U20アジア杯ではセットプレーから先制点を許す場面が見られ、自身の課題となった。「自分が出た試合の中で得られたことがたくさんある」。W杯ではたった1失点が命取りとなる。「アジア杯で悔しい思いをしたので、今大会はそれをぶつけてもっともっとやっていきたい」と意気込みを口にした。

 W杯という大舞台を前に「出たことないので正直わからないですけど、楽しみが一番強いですかね」と淡々と胸を膨らませる。「自分たちよりレベルの高い相手が来たとしてもブレることなく、一戦一戦を戦っていきたい」。身構えすぎず、気負いすぎず、平常心の守護神は強敵たちのシュートからゴールを守るつもりだ。

(取材・文 石川祐介)
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