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U-17W杯メンバー入りへ「名乗りを上げた」選手も複数。U-17日本代表がウズベキスタンを4-0で下し、Balcom BMW CUP3連覇

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U-17日本代表が3連勝で「HiFA 平和祈念 2023 Balcom BMW CUP 広島国際ユースサッカー」制覇

[8.11 Balcom BMW CUP第3節 U-17日本代表 4-0 U-17ウズベキスタン代表 広島広域公園第一球技場]

 U-17ワールドカップメンバー入りへ「名乗りを上げた」選手も複数。U-17日本代表が強敵に快勝し、Balcom BMW CUP3連覇を達成した。11日、「HiFA 平和祈念 2023 Balcom BMW CUP 広島国際ユースサッカー」最終節が行われ、U-17日本代表が4-0でU-17ウズベキスタン代表に快勝。3戦全勝で大会3連覇を達成した。なお、U-17日本代表のFW高岡伶颯(日章学園高)が大会MVPに選出されている。

 U-17日本代表は今年6、7月にタイで開催されたU17アジアカップで優勝。同大会3位のウズベキスタンとはグループステージ初戦で対戦し、1-1で引き分けている。今回は、ともにアジア4枠のU-17ワールドカップ(11月、インドネシア)出場権を獲得しているチーム同士の戦い。日本は昨年8月にアウェーで0-3の完敗を喫しており、この世代3度目の対戦でウズベキスタン撃破とBalcom BMW CUP優勝を目指した。

 この日、日本は4-4-2システム。GKが荒木琉偉(G大阪ユース)、右SB斉藤秀輝(大宮U18)、ゲーム主将のCB山本虎(青森山田高)、CB鈴木樟(鵬学園高)、左SB布施克真(日大藤沢高)、MF宮川大輝(G大阪ユース)とMF川合徳孟(磐田U-18)のダブルボランチ、右SH山口豪太(昌平高)、左SH小竹知恩(清水ユース)、そしてFW山口太陽(FC東京U-18)と高岡の2トップでスタートした。

 広島ユースとの初戦(4-2で勝利)は入りの悪かった前半に連続失点し、終盤の4ゴールによって意地の逆転勝ち。続く広島県高校選抜U-18戦(4-2で勝利)は立ち上がりに連続得点したものの、良い時間帯を継続することができずに再び苦戦を強いられた。今大会のU-17日本代表でU17アジアカップ経験者は荒木、宮川、山口豪、高岡の4名のみ。代表初招集組や復帰組が中心で合宿半ばまでは十分にコミュニケーションを取ることができていなかった。

 それでも、選手ミーティングなどでそれぞれの特長を理解し、このチームでやるべきことを確認。山本は「80分間やり続ける。ウズベキスタンはアジア大会で引き分けていますし、遠征で負けている。入りから世界大会を見据えてバチバチ行こうという中で、今日は凄く前から行けたんじゃないかと思います」と振り返る。2選手が不適切行為(JFA発表)でチームを途中離脱した中でのゲームだったが、選手たちは代表選手としての自覚を持ち、団結して戦った。

 一時的に強い雨も降る中で始まった前半、日本は9分に宮川の展開から小竹が鋭く左サイドをえぐってラストパス。14分には、山口太が抜け出しから決定的なシュートを放つ。また、高岡が敵陣で奪い返し、山口豪がドリブルで仕掛けるシーンも。山本や鈴木樟、この日ボールに触れる機会の多かった川合、宮川が1つ飛ばすパスも活用しながら相手を左右へ揺さぶった。

 そして、25分、日本が先制点を奪う。敵陣中央で宮川が奪い返し、川合が左サイドへ展開する。この日、左サイドで迫力のあるドリブルを連発していた小竹が縦へ切れ込み、DFとGKの間へラストパス。最後は大外の山口太が右足で合わせ、2試合連続ゴールを挙げた。

 日本は守備面でも山本や斉藤のカバーリングでピンチを凌いだほか、GK荒木が至近距離からのシュートを阻止。また、左SBで起用された布施がセカンドボールの回収や守備対応で光る動きを見せた。
 
 加えて、森山佳郎監督が高く評価していたのが、声だ。この日は過去2試合で指摘され続けていた後方の選手の声が良く出るゲームに。指揮官は「声が出ていた。守備のところでだいぶ良くなった。2点目のところなんて、みんなが(声を掛け合い)前線からアラートになりながら動いて、ボールを意図的に奪ってゴールというシーン」と頷く。

 前半28分、森山監督も称賛したその形で追加点。日本は相手のビルドアップに対し、前から網を張る。その中でウズベキスタンDFが強引に縦パスを狙うと、インターセプトした高岡が独走。DFが寄せ切る前に右足を振り抜き、2-0とした。

 大会を通して走力を発揮していた高岡の今大会初ゴール。32分には相手のカウンターを阻止した鈴木樟が負傷し、CB山田海斗(神戸U-18)が緊急出場することになった。だが、その山田が相手のスルーパスに対応するなど前半を無失点で終える。逆に山口豪がワンツーから左足シュートを狙い、相手の背後を狙った山口太が左足ボレーを打ち込むなど追加点のチャンスを作り出した。

 日本は後半開始から高岡とFW鈴木大馳(鳥栖U-18)を交代。ウズベキスタンも4選手を入れ替えてギアを上げようとする。だが、日本は主導権を渡さない。森山監督は「みんなで声を出し合って、『こっちの方がもっとギア上げるぞ』という声も自然と出ていたので、だいぶ成長が見られた」とコメント。日本はややラフなプレーも多いウズベキスタンに引かずに戦い、逆に突き放して見せた。

 12分、小竹と山口太をMF西原源樹(清水ユース)とMF柚木創(流通経済大柏高)へスイッチ。日本は後半も運動量を増やし、柚木や布施が強度の高い守備を見せる。そして、斉藤のオーバーラップや山口豪の仕掛けでゴール前のシーンを作り出し、鈴木大がシュートを狙った。迎えた24分、日本は右サイドから逆サイドへボールを動かすと、西原が緩急をつけたドリブルでPKを獲得。これを自ら決めて3-0とした。

 日本は27分、川合と左SB江口拓真(神戸U-18)を入れ替え、布施がボランチへ。32分には荒木と宮川をGK小森春輝(浦和ユース)、MF揚石琉生(栃木U-18)と交代した。34分、セットプレーの流れから布施が左へ展開。柚木と山本で左サイドを崩し、揚石がPKを獲得する。揚石はPKを一度止められながらも、こぼれ球を左足で決めて4点目。この後、ウズベキスタンにサイドから強引にゴール前まで持ち込まれるシーンがあったが、江口や小森、山田が身体を張って守り抜く。そのまま4-0で勝利。強敵に快勝し、優勝を果たした。

 今回招集された選手たちの目標はBalcom BMW CUP優勝、そしてU-17ワールドカップメンバー入りへのアピールだった。森山監督は「『オレらもやるよ、と名乗りを上げろ』というところがこのキャンプの命題だったので、そういう意味では何人か見せておるなと」と評価。チームリーダーとして優勝に貢献した山本は、「この後、フランス遠征や新潟の大会があるので、選ばれるためにも自分のチームに戻って活躍するのもそうですし、もっと個人のレベルアップの必要性をこの合宿で凄く感じたので、3か月後の世界大会に出るためにやっていきたい」と力を込めた。

 9月に予定されている欧州遠征と、国際ユースin新潟にそれぞれ別チームを編成。基本的にその2つの活動からU-17ワールドカップメンバーが選出される模様だ。人数は少ないかもしれないが、今回、「名乗りを上げた」選手がU-17ワールドカップメンバーに食い込む可能性も十分。この後、U-17世代の才能たちは所属チーム、代表活動で「何ができるのか」を示してチャンスを掴み、U-17ワールドカップで躍動する。

(取材・文 吉田太郎)

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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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