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日本代表MIZUHO BLUE DREAM MATCH、キリンチャレンジ杯メンバー発表 森保一監督会見要旨

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森保一監督

 日本サッカー協会(JFA)は4日、千葉市内の高円宮記念JFA夢フィールドで記者会見を行い、10月の国際親善試合2試合に臨む日本代表メンバー26人を発表した。森保一監督が約40分間にわたって質疑に答えた。

森保一監督
「今回の10月シリーズではカナダ、チュニジアというW杯にも出場経験のある力のある国と試合をさせていただくことができる。まずは勝ってサポーターの皆さん、応援・支援してくださっている皆さんに喜んでいただけるような結果を出せる試合にしたい。目の前の試合を大切にすることを忘れてはいけないが、11月からは2026年の北中米W杯に向けたアジア予選が始まる。来年の年明けにはアジア杯というアジアの頂点を目指す戦いが待っている。そのアジア予選であったり、アジア杯に向けても、個々のレベルアップができるように、個々の連係連動がより深まるように、チーム戦術の幅を広げ、チーム戦術がよりチームに浸透していくように10月の2試合を大切にベストを尽くして戦っていきたい。引き続き応援のほどよろしくお願いします」

―11月にW杯予選、1月にアジア杯があり、緊張感のある戦いが待っている。どのような部分を重視して選考したか。
「まずは総合的なことを考えて、今回の活動もベストだと思えるメンバーを選ばせていただいた。メンバー選考については3月、6月、9月と新チームで活動してきたが、9月の活動をベースに考えて、諸事情で代えるべき選手は代えて、チームとしては変えてはいけないこと、変えなくてもいいことはもちろんあると思うが、ベースの部分は忘れず、変えるべきこと、チャレンジすべきことはチャレンジすべきということで考えてメンバー選考をした」

―前線で南野拓実が久しぶりの招集になった一方、主軸の鎌田大地、堂安律が外れている。どのような選考になったのか。
「南野は直近の試合はプレーしていないが、我々が新チームになって、今季のヨーロッパの選手たちのプレーもスカウティングしている中、非常に調子が良く、チームに貢献していることを確認させてもらってきた中で今回の招集になった。鎌田と堂安についてはメディカル、チーム同士で確認を取った上、コンディション不良ということで招集を見送っている」

―今後のチームづくりについて。
「まずはチーム作りにおいて、近々の大会に向けてというところで別々に話をできればと思う。目の前の大会がもちろんあって、そこに向けて調整するところは当然考えなければいけないが、まずは基本の部分で考えると、我々が何を目指しているかを考えないといけない。世界で勝つために、W杯でチャンピオンを目指すため自分たちがレベルアップしていくことをチームで共有している中で、まずは自分たちが強い相手と戦ってレベルアップしていくことが大切だという基本的なことを忘れてはいけない。その次に目の前の対戦相手であったり、大会に合わせていくことを考える。極端な話をすると、自分たちが強ければどこと戦っても勝てるという自信を持って戦えるようにレベルアップすることが大切になる。11月から始まる北中米W杯アジア予選、来年のアジア杯という戦いの中では、相手がより守備を固めて我々に対策をしてくるのは予想できる。その中でもまずは我々が基本的に強いチームであること。ただ攻撃的にとかただ守備的にではなく、相手に勝つために速攻もできて遅攻もできる、真ん中からもサイドからも攻めることができる。いい守備からいい攻撃に、相手を受け止めてからチャンスや得点機会を作るところ、そういったいろんなバリエーションを持つことができていれば、相手が前からハイプレッシャーをかけてきても、引いて守ってきても、我々が持っているオプションの中で試合を優位に進めて、勝つ確率を上げていかないといけないと思っている。アジアの戦いに向けても準備という面では、カナダは監督が代わってどういう戦いをするかは未知数。個々で能力の高い選手がいることはカタールW杯前に親善試合をして把握できているが戦術的には分からない。チュニジアは昨年の6月に試合をしているし、固い守備から攻撃を仕掛けてくるチームだということが言える。そういう意味で言えばアジアの戦いとも共通する相手だと思う。チュニジアとの戦いではアジアでの戦いをイメージしながら経験値を上げ、次の戦いへのイメージをしていけると思う」

―GKの顔ぶれが大きく変わり、前川黛也、鈴木彩艶が久しぶりに招集されている。その意図は。また鈴木彩艶はパリ五輪の活動が同時期にある中で、U-22日本代表の大岩剛監督とどのようなコミュニケーションを取ったか。
「GK2人に関してはいいパフォーマンスをしているということで、代表の戦力にふさわしいと考えて選んだ。前川はJリーグで首位を走っているチームでゴールマウスを守る良いプレーをしているし、彩艶も移籍してシントトロイデンで移籍直後から試合に出続け、高いパフォーマンスを見せているので招集した。五輪の大岩監督とのコミュニケーションについてだが、メンバーの候補についてはリストを共有しているので、コミュニケーションを取っている。代表招集に関しても山本(昌邦)ダイレクターも含め、直接コミュニケーションを取ることと、A代表と五輪の活動の中でどう選手を動かしていくかを情報共有という部分でも山本さんが間に入って動いてくださっている」

―神戸が首位を走るJリーグをどう見ているか。またJリーグの選手たちに期待したいことは。
「神戸は吉田(孝行)監督のもと、戦術が徹底されているし、全員がハードワークしながら粘り強く戦う部分、アグレッシブにボールを奪いに行く、攻撃を仕掛ける部分、粘り強くとアグレッシブという部分をチーム全体で表現して、非常にいい戦いをされている。またJリーグの所属で代表の舞台で選ばれ、そしてプレーができる選手たちについては、まずは自分の武器であるものを見せてもらいながら、所属チームとは別の戦術であったり、チームの雰囲気の中で、自分の力を発揮する、チームに貢献するところを見せてもらいたい。その上で自分がやれることをやった上で、国内のサッカー、そしてJリーグの代表として、代表に選ばれているということを誇りに思い、Jリーグと国内のサッカーに還元するものを考えてもらいながらプレーしてくれるとありがたいと思っている。また彼らは現在の所属はJリーグだが、メンバーを見てください。全員がJリーグ経験者なので、国内とか海外とか、もちろん所属チームは違うが、国内で育てた選手、Jリーグで育てた選手が代表になっている、世界に羽ばたいていっているということり理解していただきたい。国内と違いを感じることもあるかもしれないが、日本代表選手であり、国内での経験が世界に羽ばたくきっかけになっていることを理解して質問いただければと思う」

―中山雄太が招集された。復帰してからのパフォーマンスをどう見ているか。またどういった起用をイメージしているか。
「復帰してからの試合で言えば、2節前は打撲で途中交代というのはあったが、フル出場できているというところを確認しているし、イングランドのチャンピオンシップでフル出場できるということはハイインテンシティのなかで、より高い強度の中で1試合戦えるだけのパフォーマンスができる体力が戻ってきているということを確認した上で、1試合を通してプレーできるということを期待して招集させていただいている。実際に代表にきた時、1試合通して出るのか、2試合とも出るのか、出場時間が限られるのか、26人の競争で試合に出られないかもしれない。そこは構想はあるが、一旦集まってもらった上で最終的には決めたい。さらに今後の戦いにおいても、彼が怪我の前に見せてくれていたパフォーマンスは代表の戦力に十分に考えられると思う。彼が持っている、出せるパフォーマンスを所属チームと代表との戦術の違いの中でどう表現してくれるかを確認できればと思っている。起用法は左サイドバックを中心に守備のボランチ、CB、そして4バック、3バックで守備的な部分で複数のポジションをこなせると思っているので、またオプションとしては試すことになれば違うポジションでも試したいと思っている。基本的には左サイドバックで考えている」

—この活動が終われば、2025年9月まで親善試合を組むことができない。W杯予選が続く中でどのようにテストをしていこうと考えているか。
「まずは今回の活動においては3月、6月、9月と同様に選手を試すことと、戦術の部分で試す、よりお互いの連係連動の精度が上がるように、戦術の浸透度がより深まっていくようにと考えている。もちろん一回一回の活動で、9月から10月の選んだ選手の変更の数は少ないかもしれないが、目的としては同様かなと思っている。W杯アジア予選、アジア杯という部分での公式戦となる戦いによりチームのパワーを持っていけるようにというのと、選手層と戦術の選択肢をより多く持てるようにということで活動してきた。ただ我々はいろんな準備をとは言いつつ、目の前の試合が親善試合であれ、公式戦であれ勝利を目指して戦うことと、勝利が求められるということを忘れず、目の前の一戦に勝利を目指して、未来に向けてのチャレンジをしていければと思って活動してきた。公式戦と親善試合と違いはあるかもしれないが、代表活動の中では勝利が求められる中で、常にJリーグでという『プレシーズンで試すこと』『公式戦で勝っていくこと』を同時に常にやらないといけないのが代表。それは選手たちにも同様の話をしているし、みなさんにもこの機会にお伝えさせていただければ。11月のアジア予選の中でもどんな相手にもリスペクトすることを忘れずに戦わなければならないし、やる前から結果が決まっている、勝利が決まっている大会はないし、油断や隙を見せることなく、勝利するために全員が最善の準備をして、試合でベストを尽くすことを忘れずに戦いに臨む中、戦術的な部分、選手であったりは試せる範囲で試していきたい。そこは戦う中でのバランスを見て、チャレンジすることを忘れることなく、未来に向けて勝利とチームのレベルアップを同時にできるようにしていきたいと思っている。11月からは招集できる人数が変わってきて、少なくなってしまう(アジア2次予選は23人枠)ところもあるので、より選手の選考も難しくなり、何をチャレンジしたらいいかもチームでより精査して試合に臨まないといけないと思っている」

—U-18日本代表の船越優蔵監督がコーチが入っている。また9月にはテクニカルスタッフに若林大智が入った。9月に得られた効果は今後どう活かしていきたいか。
「まずは船越監督がコーチとして我々のスタッフの一員として帯同してくれることは代表チームの勝利のためにまた戦力的にアップするというところと、日本サッカーの発展ということにおいて、我々A代表と育成カテゴリの代表スタッフが同じチーム活動、A代表のチーム活動をすることで、目指すべきものを共有できるということは非常に全体的にプラスになると思う。A代表でやっていることが全て育成に活かされるかどうかは分からないが、目標となるべき準備や戦いを練習や試合を通して感じていただき、普段見ている育成の舞台で選手の成長に役立てていただければありがたいと思っている。我々は育成であったり、普及であったり、メディアの皆さんも、地域の1クラブ1クラブ、サッカーに携わっていただいているすべての方々に繋いでいただき、A代表の活動をさせていただいている。まずは勝利で喜んでいただくこと、勝利を分かち合うことをサッカーファミリー、支えていただいている方々とというのと、我々の活動が育成であったり、地域、またはサッカーの発展のためになるように還元できればという思いを持っていろいろと活動している中で、A代表の活動につなげていくださっている育成や地域の皆さん、サッカーファミリーに還元することができれば嬉しいなと思っている。若林さんに関しては分析担当が一人増えたということで、選手に伝えるべき情報を幅広く拾っていけるということと、伝えるべき映像であったり、資料であったりということをより密度を濃くして、内容を濃くして、選手たちが戦術をクリアにすること、個々の役割をクリアにして思い切って戦うことにつながり、非常に大きな戦力になっている。いろんなスポーツも、もしかしたら他の分野もそうかもしれないが、現代のサッカーは情報戦。情報を多く拾って、いかにして精査して戦いに活かしていくかが、勝つ確率を上げるために大切な要素になっている。一人増えてくれたことで内容が濃くなっているが、より多くの人も必要になってくるかもしれないということが現代サッカーを取り巻く環境かなと思っている」

—南野拓実の起用についてどう考えているか。
「4-2-3-1であればトップ下のところがまずはベースかなと思っている中で、彼はトップもウイングもできる。カタールW杯ではウイングとしてプレーしてもらいながら内側に入って、潜り込んでくるプレーをしてもらっていた。そういうプレーを期待して起用できると思っている。4-1-4-1で戦う場合はインサイドハーフのところで基本的にプレーできると思っている。先ほども言ったが、トップもやってもらったことがあるし、ウイングから中に入ってくるところも彼の良さを活かし、チームの戦術に組み込んでいけると思っている」

—アジア大会での北朝鮮戦のラフプレーでJFAから意見書が送られたということだが、森保監督はあの試合をどう見ているか。またアジア2次予選での戦いをどうイメージしているか
「私の答えられること、ピッチ上のことで話したい。日本対DPRコリア(北朝鮮)との試合はテレビで見た。激しく厳しい局面の戦いがすごくあるなと思っていて、日本の選手がレイトタックル等々で怪我をしなければいいなという思いはあった。ただ我々がA代表の戦いでDPRコリアと戦うことも想像しながら試合を見ていて、本当に激しく厳しい試合になるだろうと思っている。それを考えた時、Jリーグでももちろん激しく厳しい試合、ヨーロッパで戦っている選手はもしかするとあれ以上に激しく厳しい戦いをしていると想像できるが、選手たちにはより普段やっていることに自信を持って、激しく厳しくを乗り越えてくれるんだろうなと考えている。ただラフプレーにおいてはそこは我々にコントロールできるところではないので、選手たちにはまずは恐れずプレーすることを普段通りやってほしいということと、ジャッジはレフェリーに任せて、レフェリーが選手たちと守ってくれると信じて戦いに挑みたいと思う」

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

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