beacon

大歓声浴びた久保建英「おっかなびっくりみたいな感じ」の復帰も出場即アシスト

このエントリーをはてなブックマークに追加

MF久保建英(ソシエダ)

 全体練習合流からわずか3日、後半39分の途中出場からたった1分後、日本代表MF久保建英(ソシエダ)がワンプレーで違いを見せた。MF堂安律からの斜めのパスをスペースで受けると、優しいラストパスでFW上田綺世のダメ押しゴールをアシスト。「自分としてもコンディションがあまり落ちていないのも確認できたので、いい試合になったかなと思います」と手応えを語った。

 久保は年明けのラ・リーガで左太ももを負傷し、代表の全体練習に完全合流したのは2日前。9日に完全非公開で行われたヨルダン戦にも出ていないため実戦感覚にはブランクもあったが、持ち前の技術は錆びついていなかった。

 冷静に止まってスペースで受ける動きも、複数の相手を視野に入れながらタメを作る判断も、ストライカーがシュートを打ちやすい瞬間にラストパスを出すタイミングも光ったアシスト。「中でプレーしていたのでペースを上げ切るところでもなかったし、間でターンできるのは自分の特徴の一つ。そういったところで結果を残せてよかった」。アジア杯デビュー戦でらしさを表現した。

 この日の日本は初戦の重圧からか、早い時間帯に先制点を奪うも、2つのセットプレーで逆転を許す苦しい展開。試合3日前の取材時点では「無理するところなのかなという感じ」と初戦出場には慎重な見通しを口にしていた久保だったが、早い時間からピッチに立つ準備はできていたという。

「結構タフな展開で、前半のうちからアップして後半から行くと言われていたけど、2点入ったことで今じゃないなというチョイスになった」。結果的にはハーフタイムでの投入は見送られたが、「難しい心の準備もあったけど、でもしっかり準備はしていたんで」と久保。後半終了間際からの起用となり、試運転の意味合いが大きかったはずだが、見事に結果まで出してみせた。

 そのためコンディション面でも収穫の大きい一戦となった。「ちょっと確認しながらという感じ。前回(ヨルダン戦)も出ていないし、(完全)合流したのが2日前だったので。チーム(ソシエダ)だったら流れの中で行っていたけど、代表ということもあってちょっとおっかなびっくりみたいな感じもあったので良かったと思う」。順調な回復ぶりを印象付けた。

 スタンドでは数多くの日本国旗がはためき、チームに集まる注目の大きさも感じさせていた。「ホーム感はありましたね。日本の全然チャンスじゃない時にも声を上げてくれたり、そういうのは嬉しいし、人気がどんどん上がっていくためにも次の試合はもっと内容にこだわっていければなと思っています」

 その中で一際大きな歓声が上がったのは久保の投入時。初戦で実戦復帰を果たしたことで、次の一戦からはさらに大きな期待が向けられそうだ。「コンディションも上がってきて、中4日あるので次は長い時間出ると思う。今日は10分だったけど結果も出せたし、次はもっともっと結果も求めながら内容の部分も意識していきたい」。所属クラブの戦いを離れ、決意を持って臨むアジア杯。久保建英が上々の滑り出しを果たした。

(取材・文 竹内達也)

●AFCアジアカップ2023特集
竹内達也
Text by 竹内達也

TOP