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紆余曲折のGL、堂安とともに活力与えた中山雄太「試合に出ていないからこそ気付けた部分もいっぱいある」

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26日、リカバリートレーニング後に話し込むDF中山雄太とMF堂安律

 アジア杯のグループリーグを2勝1敗で突破し、決勝トーナメントに進んだ日本代表。課題がありながらも勝ち切れたベトナム戦、相手の対策とパワーに封じられたイラク戦、選手を入れ替えても本来のベースを取り戻したインドネシア戦と、1試合ごとに異なる顔を見せつつ大会を進んでいっている。

 こうしたチームの歩みについて、3試合目でようやく出番を掴んだDF中山雄太(ハダースフィールド)は「一番いい状況なんじゃないかなと思う」と太鼓判を押す。

 中山は好調ムードが続いていた大会前に「良い雰囲気と馴れ合いは紙一重」といずれ引き締める必要があることを強調していたが、チームは実際に苦しい状況を経験した。そしてインドネシア戦前には「好調という名の麻薬」という独特の表現でチームを俯瞰しつつ、自身のような出場機会の少ない選手が異なる振る舞いをすることで「起爆剤になれれば良い」と語った。

 そんな26歳はサブ組主体で勝利したインドネシア戦を経て、チームの雰囲気を前向きに捉えているようだ。

「1、2試合に出ていた選手が3試合目で変わった選手のプレーを見て絶対に刺激になっているし、3試合目が終わった後も言ったけど、次が日本代表として本当の真価を問われる試合だと思っている。(インドネシア戦の)試合前は言えなかったけど、メンバーが変わるというところでは、出ていなかった選手が試されていた部分があったし、今回は次に向けて、全員が真価を問われると思っている。日数で言う準備期間もあるし、1〜3試合目よりも良い試合をできるようになるのかなと思う。その自信も持っているので、しっかりとその準備をしていきたい」(中山)

 中山自身は第2戦のイラク戦に敗れた翌日、同じく先発機会のなかったMF堂安律(フライブルク)とともにサブ組中心で行われたトレーニングのスイッチを入れ、インドネシア戦に向かうチームを支えてきた。中山の言葉を借りれば、個人として「試されていた部分があった」のも間違いないが、チーム全体に活力を与える振る舞いのほうが目立っていた。

「それは僕ら(中山、堂安もような選手)が試合に出ていないからこそ気付けた部分もいっぱいあると思う。逆に言えば僕らが試合に出ていたら他の人が気付いていた場合もあると思う。そういう選手がいまたくさんいるのはたしかで、結果的に僕らだっただけ」。中山はそう謙遜しつつも、「しっかりとチームに還元するようなアクションがしっかりできたし、結果に実を結んだと言うのが僕らにとっても、チームにとってもポジティブだった」と手応えを語った。

 もっともインドネシア戦後に語っていたとおり、ピッチ上の役割はここからが「新たなスタート」でもある。

 26日の取材対応では「個人的に守備の選手なのでゼロで終えられなかった、3-0で終えられなかったのは試合を難しくしてしまう可能性があった場面。突破したから、3-1で勝ったからOKとしてないがしろにするのは良くない。そこは突き詰めたい部分」とインドネシア戦の課題を振り返った中山。サブ組が活力を与えて前向きに立て直したチームの中で、今度はピッチ上のクオリティー向上にも貢献していく構えだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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